リンガフォンの想い出

3 ：米語中級コース：2010/09/28(火) 19:51:49 .net

大学に受かった僕は、関西のある街から新幹線に乗って上京した。
そして上石神井のアパートの１Fに住むことになった。
すし詰めの通学列車の中でヨーカンのように揺られ、大学に通う毎日だった。
英語くらいできるようにならなくちゃ。そんな意識があったからか、生協で、
宣伝を派手にやっていたからか、わからない。英会話学校の学費が高そうで
とても通えそうになかったり、語学教育研究所での授業はレベルが高そうで、
周りの英語のできそうな人たちにたいして劣等感さえもちがちだった内気な
僕は、自分自身のできなさを人前に晒すことができなかった、それも
理由の一つだったはずだ。僕はリンガフォンの中級コースと専用のカセット
を初めてローンを組んで買ってもらったのだった。初級コースにしなかった
のは、中級コースくらいの実力はあるはずだ、などという見栄と、
中級コースにしていればしばらく使える、というケチ根性があったからだ。
ともかくにも、僕のこれからの４年間は明るいものになるはずだった。
リンガフォンのカセットを抱えながら。