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上代特殊仮名遣い 二音目

1 :名無し象は鼻がウナギだ!:2012/06/23(土) 20:31:32.19 0.net
前スレ:上代特殊仮名遣い
http://awabi.2ch.net/test/read.cgi/gengo/1305988303/

立てた

448 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/05(土) 20:06:49.56 0.net
じゃあ、>>390辺りに戻って5母音説の是非について語ろうぜ

449 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/05(土) 21:02:43.13 P.net
>>448
それでは早速w
403ベースに、390にやや批判的な立論をしてみる。といっても本質的な論理操作は、それほど違わないけどw

原始4母音を立てて、音韻構造としてY字型を想定する、
そして、二重母音から7母音に移行する、と考えた時、
大変不思議なのは、
▽の中点には二重母音が発生したが、肝心のY部分の各辺中点はどこに行ったの?ということ。
これ、@i→i2以外は「行方不明」になってる。
これは「そもそも不存在。それが有坂」というのが通説なのだが、これが鍵のような気がするんだ。
例えば、@a,@uのような連続は、実は存在していて、
その少なくとも一部が、@,a,uに吸収された、と理解できないだろうか。
有坂法則の、a,u/@の対立がわずかに不明瞭である理由は、この「部分混濁」にあるのではないか。

そして、この現象と、ua→o1の成立が同時である、と考えれば、
二重母音起源のo1だけが、却って@に対して「純潔貞操を守っている」と言えることになる。

450 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/05(土) 22:11:26.44 0.net
>>390について違う方向から考えてて思いついたんだけど、日本語のyとアルタイ語のdの比較はわりと正確だとされてるじゃん
日本語とツングース語の比較だとyo1pa(夜は)とdolba、yo2(四)とdüginなどが例に挙がるけど
でもこの例だとuの低舌化で生まれたはずのo1がツングース語のoに、元からあったo2はüに対応しているように見える
一般的に日本語のアルタイAN混合起源説においては元から日本にいたAN語族の言語を基層に後からアルタイ語族が来たとされるけど、
となればツングース系と思われる語族を話す人々が日本に来たのは>>390でoが誕生した時代だったってことになるのかな?
最初の5母音時代の頃の日本語は、純粋なAN語だったということになるんだろうか

451 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/05(土) 22:14:10.80 0.net
ごめん、文字化けした
>>450で化けてるのはウムラウト付きのuのことね

452 :390:2013/10/06(日) 07:30:16.46 0.net
>>449
それだと、@を含まないi+a、a+i、u+iのような組み合わせに有坂法則がなりたたない説明がしづらくない?
あと、中世の6母音体系を考えると、必ずしもすべての中点に新しい母音が来るわけではなさそう

453 :390:2013/10/06(日) 07:42:44.12 0.net
>>450
有坂法則がツングースの母音調和に影響されてできたってのを考えると
陽母音由来の dolba が yo1に、
陰母音由来の dügin が yo2に対応するのは
筋がよさそうだけど。

それよりo1がuからできたってのを考えなおすほうがいいような気がしてきた。
o1の出現率がすくないのはo1があとから出来たからって考えてたんだけど
そうじゃなくて稲作伝来とともにANの語彙を大量に仕入れた際に、元の@をeに転写したせいで
o1の出現率が減ってしまったのかもしれない。

454 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/06(日) 07:44:52.43 0.net
>>453
なるほどuuml;が出ない。

455 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/06(日) 08:32:25.57 0.net
>>453
>稲作伝来とともにANの語彙を大量に仕入れた際

こう言っちゃうとアルタイ語が先にあったことになっちゃうから、>>390の仮説と思いきり矛盾しない?
>>390の説はAN語が先にあった(最も初期の段階の日本祖語は純粋なAN語だった)ことが前提だし
俺も先にあったのはAN語で後から来たのがアルタイ語だと思ってるから、これには同意できない

他に>>390の問題点を挙げるなら、この説だと上代寸前まで日本語に語末子音が生き残ってたことになってしまうことかな
-iによる造語(が文法的機能を担っていた)時代は>>415が指摘したように3世紀後半くらいまで続いたと思われるが、日本語の中には-iが支え母音となって語末子音が残ったと思われる言葉もあるんだよね
(支え母音による語末子音の残存はポリネシア諸語などにも見られる)
となると、-iによる造語が行われていた3世紀後半まで日本語には語末子音が存在していたことになってしまう
しかし、それだと例えば魏志倭人伝などに現れる日本語の表記と矛盾することになる
(森博達による分析によれば魏志倭人伝における日本語の表記には語末子音の無い文字しか使われていない)
それに、>>395で指摘した-iの起源も重大な問題になる
俺は>>385なんだけど、「日本語祖語はAN語の体系を継承した4母音体系だった」「日本語には8母音時代以前にも5母音時代が存在した」という部分に関しては多分間違ってないと思うんだが、
その下の母音調和時代と-iによる造語時代の設定に関してはもう少し検討する必要がありそう

いっそ>>390の表の母音調和時代と-iによる造語時代の順番を逆にすればいいんじゃないかと考えたんだが、そうしてしまうと今度はi2,e1,e2が何故母音調和に関わっていないのかという部分を説明できなくてはならなくなるし…
でも、o1が陽母音として母音調和することは、少なくとも母音調和時代以前からo1が存在していたことの根拠にはなり得ると思う

456 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/06(日) 08:51:14.57 0.net
そこで>>455で指摘した問題点について解決法を考えてみたんだが、-iには少なくとも2種類あったと考えるのはどうだろう
この考えの元ネタは村山説なんだけど、まずAN語由来の日本祖語時代からあった-iが支え母音として語末子音を残存させて、
語末子音が完全に消滅した後に入ってきた新しい-iが母音融合を引き起こしてi2,e1,e2を産んだという発想
俺には>>455についての解決案はこのアイデアしか思い浮かばなかった

この場合、二度目の-iの語源はやはりツングース語の-riだと考える
日本語にアルタイ語が流入したのは>>390の表で言う5母音時代の末期と想定して、アルタイ語の流入と共にその影響によって母音調和時代が始まったとする
この時に、他の要素と共に-riも日本語に入り、そしてこれが動詞の活用語尾となって動詞の活用が生まれた
その後はしばらくそのままの状態が保たれたけど、ある時iが後続するrが消滅する変化が日本語でも起きたことにより連母音が誕生
それをきっかけにi2,e1,e2が生まれ8母音体系に突入…というアイデアなんだが、どうだろう
これなら、ある程度問題点を解決しつつ>>390を補強できると思うんだけど
何か批判等があれば聞かせてほしい

457 :390:2013/10/06(日) 11:53:16.50 0.net
>>455
まず単純な疑問なんだけど、語末子音の支え音として-iがあるんだったら、
魏志倭人伝などで記述された中国語には語末子音は残らず、Ciとして転写されるのでは?
(上古音では-iはないだろうからCieiあたりになるだろうけど)

458 :390:2013/10/06(日) 12:44:52.24 0.net
>>455
あと、いっそ日本祖語がAN祖語であったっていう仮説を諦めたほうが説明早いかとおもって>>453みたいに言っちゃった。
つまり修正390表としては

5母音時代(1) : 日本祖語 aeiou
AN祖語導入時代 : aəiuを大量に取り入れてoが相対的に減る ... 稲作導入の前1〜1世紀あたり
(同時にAN祖語の影響でeがəに遊離)
母音調和時代 : ツングース語の影響で有坂法則発生 ... 朝鮮南部に進出した1〜3世紀あたり
(>>456にあるとおり、同時に-riによる造語が盛んになり母音衝突が頻発)
上代特殊仮名遣時代 : 5〜8世紀、ただし8世紀あたりにはすでに半分以上崩壊
5母音時代(2) : 漢語導入で母音衝突が再び頻発、勢いで音便も発生 ... 〜10世紀くらいまで
オ開合時代 : 母音衝突をなんとかしようと一時的に再度母音が増える ... 〜15世紀くらいまで
5母音時代(3) : 今に続く

これのいいところは日本語の母音の遷移を「外来語の導入で母音がおかしくなったのを5母音に戻そうとする」という流れ1本で説明できるところ
まずいところはANでもアルタイでもない大本の日本語は何者なんだよという疑問がさっぱり解決しないこと・・・

459 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/06(日) 15:32:52.96 P.net
あー、やっぱりそうだったのかー。390には、「アイウエオ5母音ドグマ」がベースに存在するのな。
「論理的に蛇足に近い、アイウエオ型の5母音」が、それも頻発するので、薄々感づいてはいたが、
信仰告白されると、改めてちょっとがっかりだなあ。
まあ、神様の道が正しいかもしれないから、これ以上、この観点での言及は避けるけど。

気を取り直して、450の話を俺なりに検討してみたい。
その例から考えれば、もう最初から独立o1を立ててしまう、という発想は可能だ。
この方向性で気になるのは、あの「学問の部屋」の人も示唆していたが、
「南方基層・北方表層」は逆なのではないか?ということ。北方が基層で南方が表層の可能性がある。
この方向性を貫くと、(彼の説からはここから外れていくが)「基層に母音調和がある」と考えることになる。
日本語の古層に、厳格な母音調和の痕跡を求めるなんて、先行研究だらけの死屍累々だが、
考えてみる価値はあるのかもしれない。

460 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/06(日) 17:44:51.42 0.net
>>457-458
森博達の分析によると、魏志倭人伝に記述された日本語は有意に語末子音が無い文字ばかりで表記されてるらしい
つまり、3世紀には日本語の語末子音は既に崩壊していたことになる

それはそうと、日本祖語がAN語だったという部分を放棄した理由を教えてほしい
俺が>>390の年表でまずいと思ったのは主に母音調和時代と-iによる造語時代に関する解釈であって、AN祖語時代と五母音時代(1) に関しては特に致命的な問題点は無いと思うんだが
その問題点も>>456のアイデアである程度解決できると思うし

461 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/06(日) 17:46:21.91 0.net
AN語時代 : a,i,u,e 語末子音あり
五母音時代(1) : uあたりからoが発生、a,i,u,ə,o -iが機能
(この間にツングース語の流入、語末子音の消滅、-iが化石化)
母音調和時代 : 陽母音[a,o]陰母音 [ə]中性母音 [i,u]にカテゴライズ -riが機能
-iによる造語時代 : -riのrが消滅したことにより連母音が大量に発生、ai→e2、ui,əi→i2、ia→e1が生まれる 母音が増えたことにより母音調和が崩壊
八母音時代 : a,i1,i2,u,e1,e2,o1,o2 八母音体系が機能
五母音時代(2) : 八母音体系が崩壊し、a,i,u,e,oに統合


>>450>>456で提起した問題点を踏まえた上での俺の解釈はこんな感じ
タイミングとしては、日本語の語末子音が消滅したのはツングース語と接触した時と考えるのが妥当だろう


>>459
それは無いんじゃないか?
日本語の最古層に母音調和を求めるのは無理だと思うし、というかrosetta_stoneの人の説は「北方基層・南方上層」って意味じゃないと思う
あの人の説は半島南部でツングース語の一派がAN語と接触することによって原日本祖語が誕生、その後日本祖語を話す一派が九州に渡ったことにより九州北部にいたAN語と接触して日本祖語になったという立論だと解釈してる
あくまで基層はツングース語で、AN語と複数回に渡る接触をしたためにAN語の影響が極めて強くなったというのがあの人の主張だろう
ただ、rosetta_stoneの人の説に従うなら日本祖語にo1を立てることになるのは確かだと思う

462 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/06(日) 17:48:04.27 0.net
ごめん、訳の分からないことを言ってしまった
>>461の最後の方を訂正する
基層は九州北部のAN語で、そこに既にAN語の影響を受けた後のツングース語の一派が来たのが日本祖語という説なんじゃないか

463 :390:2013/10/06(日) 18:32:51.19 0.net
>>460
ごめん、俺の理解がかなり及んでないかもしれないんだけど、
俺の理解では支え母音として-iがあることと3世紀に語末子音が存在しなかったことは両立できる
現代日本語は支え母音が-u(音価としては/ɯ/)だから、この状態で外国人が日本語の外来語を転写すると
フルーツ→furu-tsu みたいに語末子音がでてこないじゃん。この状態とは違うの?

> それはそうと、日本祖語がAN語だったという部分を放棄した理由を教えてほしい
消極的な理由は、別にAN語を祖語にo1の出現率が少ない理由が説明できそうなこと、
積極的な理由は、そのほうがe→o2の流浪の由来を説明しやすいこと。

あと祖語がANでなければ即ツングース(アルタイ)に由来を探るのも短絡的じゃね?って思って。
東アジアにはANとツングース系しか言語ないのかと。

464 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/06(日) 20:32:41.48 0.net
>>463
ごめん、俺の言葉選びが悪かった
支え母音になったのはたまたまで、-iは文法的機能を持ってたと思われるから現代日本語の-ɯの例とは違う
フルーツの例で言うと、元々furu-tsだったのが-iが語末に付いた形が生まれてfuru-tsとfuru-tsiが文法的に共存してる時代があって、
やがて語末子音が失われたことによりfuru-tsはfuruに変化したけど、後者では-iと結合したことにより語末子音tsが保たれてfuru-tsiのまま残ったという解釈
全く同じ現象がポリネシア諸語にも起こってるから、日本語でもこの変化があったんじゃないかと思ってる
奈良時代以降に入ってきた「別」という漢字音の発音は室町時代辺りまでbetだったらしいし、少なくとも上代語には現代日本語のような意味の支え母音は無かったと思う

e→o2の由来について考えるなら、それこそAN語起源だと考えた方が説明しやすいと思う
実際に同じような状況を比例した言語がマラヨ・ポリネシア語派にはいくらでもあるし

祖語がAN語でもアルタイ語でもないなら、想定されるのはアイヌ語だろうね
アイヌ語の母音は日本語と同じでa,i,u,e,oの5つだし、アイヌ語と同源だと考えれば日本語祖語に5母音を想定するのは可能だと思う
ただ、アイヌ語に日本語との類似語は日本語からの借用語と思われる言葉を除けばほぼ皆無だし、アイヌ語との類似は日本語よりむしろ朝鮮語との方が大きい
日本語に抱合語的な特徴が全く残ってないから、日本語とアイヌ語を同源と考えるのはかなり難しそうだ

465 :390:2013/10/06(日) 22:14:42.26 0.net
>>464
支え母音による語末子音の保存って-i以外にもあるでしょ。例えば四段動詞の終止形-uとか。
かならずしも-iによる造語時代と子音連続の忌避の時代を関連付けなくてもいいと思う。

> 日本語に抱合語的な特徴が全く残ってないから、日本語とアイヌ語を同源と考えるのはかなり難しそうだ
これは言語の基層は統語的機能の方に残るっていう説を支持してる感じ?
日本語にはAN語族にある接中辞や豊富な数指標(双数とか三数とか)ないから、AN語も同じく同源とはいえなくなりそうだけど
この説に基づくと日本語の起源はツングース系か。

ただ、>>461にあるとおり、ツングース語の流入によって母音連続や子音連続が忌避されるようになったってのは順当に思う
時期的に並べるとそこらへんが一番あやしい。

466 :390:2013/10/06(日) 22:27:25.61 0.net
突っ込まれどころ多すぎて全部返答してるか自信ないぜ

>>e→o2の由来について考えるなら、それこそAN語起源だと考えた方が説明しやすいと思う
これが一番気になる。
e→əに変化した言語は、一体何が原因でそうなっちまったんだ?
あと、それらの言語でoは派生したの?してないの?

467 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/06(日) 22:31:06.27 P.net
議論が正攻法で活発なのは喜ばしいんだけど、
うむ、やっぱり390ベースの議論は、どうも俺にはしっくり来ないなあ。
俺自身が、昨夏の議論に参加していたから、その後遺症なのか、
「10世紀前半まで、日本語の母音体系が、アイウエオ型5母音だったことは、史上一度たりとも無かった。」
という、この考えが逆にドグマかもしれないけどね。

あと、大学者も含めて、なぜかみんな前提としているんだけど、
「北方言語との接触で、母音調和が導入された」って、よく考えるととても変な話で、
このメカニズムは、もし主張するなら、かなり慎重な精査が必要。

468 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/06(日) 22:54:42.72 P.net
もう一つ面白い話を付け加えてみる。
奈良期の日本側文献に残る、東北蝦夷の言語を、ちょうど高句麗地名のように研究した
在野の研究者がいるんだけど、彼が、興味深いことを記している。
どうも、蝦夷語の、それも今のアイヌ語に近い語彙に含まれる/o/が、乙類で転写されているらしいことなんだよね。
つまり、蝦夷語のうち、日本語オ段で転写されている母音は、なんと中舌だった可能性が高い。

彼の話は、その後、小泉保の強烈毒電波をまともにうけて、
「ズーズー弁縄文起源説」に斜め上に飛んでいってしまうから、
そこから先の考察は、完全無視すればよいのだが、地名等に関する考察は、一概に否定出来ない。
アイヌ語ですら、古来あいうえお型5母音だった、とすら言えないことになる。

469 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/06(日) 23:18:20.23 0.net
気仙郡の理訓許段神社<rik-un-kotan(高地にある村)とかか
延喜式神名帳は時代的に遅いけれども。

470 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/06(日) 23:21:52.62 0.net
>>465
>支え母音による語末子音の保存って-i以外にもあるでしょ。例えば四段動詞の終止形-uとか。

ごめん、これについては動詞の活用形の起源についてのアイデアが何も思いつかないから保留
一応考えはあるにはあるんだけど、まだ>>461と整合をつけられてない
普通に考えたら日本語の文法要素の根幹は四段動詞だと思うんだが、それだと二段動詞やカ行変格動詞をどう扱えばいいのかが分からない
むしろ普遍的な四段動詞が後から出来たもので例外的なカ変なんかが古いとも考えられるし、最古の活用形は四段活用か二段活用かカ変活用か、どれなんだろう


>これは言語の基層は統語的機能の方に残るっていう説を支持してる感じ?

いや、日本語の文法はツングース語が流入した時に極めて大きく変化したんだと思う
アイヌ語との比較の場合は、借用語を除けば日本語との同源語が全く発見されないのが致命的なんじゃないかな


>>466
o2の変遷に関しては、>>386が代わりに説明してくれたような感じ
何が原因かは分からないけど多くのAN語でこうした変化が起こってるし、日本語のo2も同じような推移を辿ってる
俺が日本祖語をAN語だと想定してるのは、母音体系がa,i,u,o2で綺麗に一致することと祖語由来のeが変遷する現象が日本語にも見られるから
ツングース語のoと日本語のo1が対応することから考えても、AN語が先でツングース語が後だったとしか思えない

471 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/06(日) 23:25:11.90 0.net
>>468
アイヌ語の祖語の再構ってどれくらい進んでるの?
アイヌ祖語絡みの学説ってあんまり見たことが無いんだけど

472 :390:2013/10/07(月) 07:07:05.87 0.net
>>470
動詞の活用形については、大野晋の説だったか忘れたけど終音の違いにより活用がわかれたんでないの?
四段動詞 ... 末尾子音
上二段動詞 ... -a終わり
下二段動詞 ... -o2あるいは-u終わり
上一段動詞 ... -i1終わり
カ変動詞 ... -o1終わり

ラ変は意味的に-u(居)がつかないから終止形がウ段で終わらない。傍証はヲリのアクセント

5母音時代(1)と俺が想定した音がだいたい出てきて、母音の発生確率ともあってるから気に入ってるわ。

>>アイヌ語との比較の場合は、借用語を除けば日本語との同源語が全く発見されないのが致命的なんじゃないかな
それもそうっすね。一応語彙にも文法にも頼らない松本克己のような人もいるけどあれどこまで信用できるの?

>>何が原因かは分からないけど多くのAN語でこうした変化が起こってるし、日本語のo2も同じような推移を辿ってる
この原因不明感が気持ち悪くて。

原初の所属不明な日本語⇒AN語流入(e中舌化済み)⇒アルタイ系言語流入

これなら説明簡単じゃん?

473 :390:2013/10/07(月) 07:10:33.23 0.net
>>468
o1への転写は100%ないの?
それなら少し理由を考えなきゃいけないんだけど、
もしo2への転写が多いくらいの話だったら日本語側で上代特殊仮名遣いが崩壊してたのかもしれないよ
なんせ東国方言は畿内に先立って崩壊していたんだし。

ひょっとすると東国は8母音時代がなかったのかもしれないし。

474 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/07(月) 08:35:02.53 P.net
>>473
東歌の様相は、どうみても「先に8母音が崩壊した」とは言えないはず。
東国方言の音韻の手短なまとめを、
前スレ699説の、699直前の議論から一部転載する。

>東歌の「訛り」は、
>・イ乙とウがgdgd
>・エ甲がアになる
>・エ乙がエ甲になる
>・エ乙とオ乙がgdgd(引用註:中部地方の場合)
>・一部のウがオ甲となる(これは文法的問題とされる)

699説の意義はさておき、この客観的様相から、
「先に崩壊し(てaeiouになってい)た」と、どこをどう捻ったら解釈できるのか、
俺には不思議でしょうがない。
母音数との関係では、「乙類の、甲種からの独立音性」を「補強」する側の変化・混同ばかり。

475 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/07(月) 14:42:23.61 0.net
>>472
別に大野説でも村山説(二段活用がAN語起源で先、四段活用がツングース起源で後とする)でもいいんだけど、それだと>>461とどう整合性を取っていいのかが分からないんだよね
俺は二段動詞と四段動詞のどっちが先だったかはともかく、四段動詞の活用語尾の起源は村山説に従ってツングース起源の-riだと思ってるんだが、それだとツングース語が入ってからも日本語に語末子音が残っていたと解釈しなければならなくなる
ただ四段活用の已然形の語尾が-e2であることを考えるとそもそも語幹に語末子音があったとも言えなくなるし、その辺りをどう考えればいいのかがさっぱり分からない
四段活用をツングース語流入前の五母音(1)にまで遡る最古の活用形態と考えてもいいけど、そもそも四段動詞がカ変などより古いという根拠が無いとそう主張するのは厳しいし
あと、カ変の語幹って-o1終わりじゃなくない?
カ変の未然形と命令形の活用は-o2だし、語幹に-o1を再構する根拠は無いと思う

松本説というと、類型地理論だっけ
正直あれは電波説の類だと思う
LとRの区別の有無なんて他の言語の影響で簡単に変わるし、形容詞の形態や一人称複数の排他性なんて歴史時代の日本語だけ見ても大きく変化してるし
というかあれはどう見ても日本語が南方起源であるという結論が先にあった上での立論だからなあ…

多分その順番は成り立たないんじゃないかな
日本語と関係があるのはAN祖語じゃなく台湾諸語と分岐した後のマラヨ・ポリネシア諸語だと思われる(村山説によれば日本語と台湾諸語の対応はかなり希薄)けど、
MP祖語の時点ではまだAN祖語のeはeのままで中舌になってなかったとされてる
eがəに変わったのは比較的遅くだし、əになった後に日本に来たというのは無理がありそう
それに、>>458をベースに考えるなら、仮に5母音体系を持った正体不明の日本語祖語があったとしてもAN語のəはaかeかoに吸収されて独自の音素にはならないと思う

476 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/07(月) 14:57:46.86 0.net
動詞活用はa,i1,u活用とo2,i1,u活用があって
前者が四段, 後者がカ変サ変
前者の派生が下二段、後者の派生が上二段
ということじゃなかったか

477 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/07(月) 16:30:17.93 0.net
脇からですいませんが、動詞活用の起源の議論がおもしろそうなんですが、
そこらへんのあらましを知るための本を紹介してはもらえないでしょうか?

478 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/07(月) 16:35:15.36 P.net
大昔のスレから転載。390は、大野説ではなく別の考え方(大野に先行する説じゃなったかな)
大野説は次のとおりになる。ポイントは、
・未然形を考慮から外している
・o1は関係なくなる

27 : 名無し象は鼻がウナギだ![] 投稿日:2008/10/14(火) 16:02:43 0
大野晋説
*a、i、u、Oが本来的な母音
*ai→E、ia→e、Oi→I、ui→I、ua→oのような母音融合により新しい母音I、e、E、oが生まれた。

*四段、カ変、サ変、ナ変、ラ変は語幹が子音終わりである。
*上一段はi、上二段はuまたはO、下二段はaで終わる語幹を持っていた。

*連用形は、語幹に-iという接辞が加わった。
四段(咲) sak-i→saki カ変(来) k-i→ki サ変(為) s-i→si ナ変(去) in-i→ini ラ変(有) ar-i→ari
上一段(着) ki-i→ki 上二段(起) OkO-i→OkI (尽) tuku-i→tukI 下二段(明) aka-i→akE 

*命令形は、子音語幹の場合、連用形に感動詞-aが加わった。ただしカ変だけはその交替形-Oが加わった。
母音語幹の場合、末尾がやや長母音であるため、母音連続を回避して-yO(東国方言では-rO)を加えた。
四段(咲) saki-a→sake カ変(来) ki-O→kO サ変(為) si-a→se ナ変(去) ini-a→ine ラ変(有) ari-a→are
上一段(着) ki-yO 上二段(起) OkI-yO (尽) tukI-yO 下二段(明) akE-yO 

*終止形は、-u(居)が連用形に加わることでできた。ラ変には意味上重複になるので-uが付かなかった。
上一段では古い時代には終止形が連用形と同形だった。
四段(咲) saki-u→saku カ変(来) ki-u→ku サ変(為) si-u→su ナ変(去) ini-u→inu ラ変(有) ari→ari
上一段(着) ki- →ki→kiru 上二段(起) OkI-u→Oku (尽) tukI-u→tuku 下二段(明) akE-u→aku

*連体形は、終止形に-ruが加わることで出来た。四段とラ変は語幹に直接-ruが付き、子音連続を回避するためrが脱落した。
四段(咲) sak-ru→saku カ変(来) ku-ru→kuru サ変(為) su-ru→suru ナ変(去) inu-ru→inuru ラ変(有) ar-ru→aru
上一段(着) ki-ru→kiru 上二段(起) Oku-ru→Okuru (尽) tuku-ru→tukuru 下二段(明) aku-ru→akuru

479 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/07(月) 19:19:09.09 0.net
已然は?

480 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/07(月) 19:48:42.68 0.net
ラ変の「あり」に居る「ゐる」の語幹は/wi/になるだろうから、これが-u(居)という音だったのはまぁわかるとして、
ラ変の「あり」に居るの語幹が付いたら、意味上重複になるってのはわからんでもないんだが、
そしたら、なんで「居る」って終止形はできたんだろうな。
いや、その説がおかしいって反論してるんじゃなくて、不思議だなと。
「あり」よりももっと直接的な意味重複だろうに。
みてみるとか、いている(いてる・いとるが普通か?)とかを言う人がいるようなものかな。

481 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/07(月) 20:15:05.65 0.net
>>480
意味からして、居(wu)が自動詞で居る(wiru)が他動詞なのでは?

482 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/07(月) 20:44:15.71 0.net
元々は連用形が終止形兼ねてた、東国方言で終止形が連体接続してる名残があるから
終止形がもともと連体形だったみたいな話だっけ

483 :390:2013/10/07(月) 22:20:32.24 0.net
>>474
その書き込みだけ見ると確かに崩壊して無さそうにもみえるな。
俺の知識もWikiとそこら辺のサイトみただけだから大したことないけど
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E3%81%AE%E6%96%B9%E8%A8%80
東国では主に
(1)イ列音がウ列音になる。
(2)エ列甲類音がア列音になる。完了の「り」(中央語ではエ列に接続)がア列に接続する。
(3)エ列乙類音がエ列甲類音になる。
っていう感じでそれなりに母音の数は収束してるよ。本文にも「中央より早く崩壊が進んだ」って書いてるからこれ信用しちまった
なんか反例あったら教えて。

ちなみに(1)と(2)には共通の性質があって、ui1→u、i1a→aのように、
母音重複を融合音で解決するんじゃなくて母音の脱落で解決する傾向にあったと思われる。

あと長野・静岡はこれらの特色は薄いらしく、そのかわり
(4)オ列乙類音とイ列音、エ列乙類音が混同される
が見られる。関東とは別の言葉っぽい。

484 :390:2013/10/07(月) 22:48:41.97 0.net
>>475
>riだと思ってるんだが、それだとツングース語が入ってからも日本語に語末子音が残っていたと解釈しなければならなくなる
>ただ四段活用の已然形の語尾が-e2であることを考えるとそもそも語幹に語末子音があったとも言えなくなるし

どういうことなの・・・・?
自分的に補足すると
1) 動詞の活用の起源は連用形。これに様々な接尾辞がついて現在の動詞の活用ができた
2) 連用形-iの起源はツングース祖語(?)にある-ri
3) 四段動詞は大野説と同じく子音終わり、そのため四段活用があるということは-riが入ってきた時に同時に子音終わりの音があった
4) 子音終わりの音があった時代は母音重複を許す時代と同じだった、そのため融合母音は必要なくi2e1e2は存在しなかった
5) ところが已然形にe2が存在するため、3)の前提と矛盾する

こういう論理展開かな?普通に考えると1)2)3)4)のどっかが違うんだろ
村山七郎読むともうちょっとわかるもんなんかな

485 :390:2013/10/07(月) 22:49:49.86 0.net
>>478
あ、ほんとだカ変はo2じゃん。勘違いしてた。
つーか大野説だったらo1を本来的単母音に数えるわけねーよな。

486 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/07(月) 22:56:44.00 0.net
つまり、いまの終止形は、〜ます、みたいな、食べ+ます、というようなもんで、〜ます、が、古語の居るの語幹がその役割を果たしていて、
連用形に語尾がついた形だったということなんだろうけど、
終止形がもともと連体形というのは、連体形と終止形がいっしょくたになった、
中世以降、近世からの日本語と同じような状態だったってことかな?

487 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/07(月) 23:42:50.02 0.net
>>481
"居(う)"がワ行と考えてる同志がここにも居たとは!

"居(う)"/"居(ゐ)る"は自他というか二段/一段の差なんだろうね。
ちょうど嚔(ふ)と"嚔(ひ)る"の関係と同じで。
u+a→o1だから、wu+ari→wo1ri→wori(居り)とも辻褄が合う。
なので、終止が"居"由来というのには懐疑的だね。
急居が "つく" でなく "つきう" と読みがなが振られるのもワ行と考えると当り前に見える。

488 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/08(火) 00:15:31.80 0.net
>>482
昔、活用の成り立ちを自力でつらつら考えていてその結論に達したことがあるけど、
>東国方言で終止形が連体接続してる名残がある
は知らなかった。いい情報サンクス。

>>486
>終止形がもともと連体形というのは、連体形と終止形がいっしょくたになった、
>中世以降、近世からの日本語と同じような状態だったってことかな?

たぶんそうなんだろうと思う。
 連用:-i1、終止:-i1、連体:-u が
 連用:-i1、終止:-u、連体:-u になり、でも同じだと不便なのでもう一度連体に-uをつけて
 連用:-i1、終止:-u、連体:-u/-uru になったんだろうと思う。

489 :488:2013/10/08(火) 00:22:37.04 0.net
で、連用:-i1、終止:-i1、連体:-u 時代の生き残りがラ変(とナ変、カ変)になっただろうな、と思う。

ナ変/カ変は終止:-i1のまま残ったけど、やっぱ終止形が-uじゃないのってオカシクね?となって
-uにしたんだけどうっかり-i1残したまま-uをつけたので
終止が-i1-u→u、連体が-i1-u-u→-uruになったんじゃねーか?
…と妄想混じりに考えてたがどうだろう。

490 :488:2013/10/08(火) 01:01:37.28 0.net
付け加えておくと、語幹が母音で終わる動詞では
ナ変/カ変と同じ道をたどったのが一段で、四段と同じ道をたどったのが二段。

サ変は四段と下二段のハイブリッド。
自動詞の"する"と他動詞の"する"が四段と二段で、
代動詞としても使われる関係で混ざりやすかったとにらんでる。

491 :488:2013/10/08(火) 01:14:22.69 0.net
ついでだ、カ変について。

語幹が子音で終わる動詞には未然(や命令)に-o2を取る動詞が"来"以外にも少なからずあったが、
なんらかの理由で-aに切り替わった。そのとき何故か取り残されたのが"来"である。
"-る"や"-す"をつけた形で-aでなく-o2を取る動詞( "起く/起こる/起こす"、"聞く/聞こす"、"滅ぶ/滅ぼす" )
があるが、これが-o2型未然の名残である。

…となる。

492 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/08(火) 01:36:56.30 0.net
四段活用で未然形がCoCaになってるやつは
もともとCoCoで有坂法則を満たしてたって意見だよね

松本説だと未然形がaになるのは男性活用、o(2)になるのは女性活用と呼んでたな

493 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/08(火) 05:40:21.85 0.net
maro2(「まろぶ」などの語幹)ってどう解釈されてるの?
思い切り有坂法則に違反してるけど

>>484
ごめん、言葉足らずだった
補足してくれてありがとう、その論理展開で合ってる
俺は基本的に日本語の形成過程を>>461と考えてるんだけど、それだと四段動詞の語幹が閉音節的であることの説明がつけられないんだよね
活用の起源が連用形である大野説は間違いなく正しいと思うが、思いつくアイデアとしては活用語尾には複数の起源があって成立したのも同時ではないって考えることくらいかな
もしくは、一度>>461を放棄して最初から練り直すべきだろうか

494 :390:2013/10/08(火) 06:38:18.63 0.net
東国方言で終止形が連体接続しているっていうのは知らなかった。
あっちは終止形 -u 、連体形 -o のように厳密に分ける方の方言だと思ってたんで。
それともこの -o が終止形の最古の形?

>>488
いやまて、動詞で一番の勢力を持つ四段動詞が連体形に-ruをつけなくても特に不便がなかったというのも不自然だぞ
四段・ナ変は子音終わりの単語で、連体形の接辞は-nuなどのnで始まる音だったんじゃないか?
ナ変だけ-nで終わるため、nの重合をさけるため-unuになって、弱化か何かの影響で-ruになった。

もしくはすなおに連体形の接辞は-ruだったんだけど、-nruを避けるような発音法則が五母音時代(1)にあったとか。

>>480
「ゐる」の方は「座る」の意味だったんじゃないでしょうか古語的には。

495 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/08(火) 07:37:40.68 0.net
>>480-481 >>487
今でも西日本(近畿を除く)に見られるように、「あり」に対するのは元々「をり」だよ。

「ゐる」は、>>494でも指摘されてるけど、元々は「座る」という意味の一般動詞だった。
だから他の動詞と同様に -u で終わるのだろう。
琉球諸語では、今でも「座る」の意味で「ゐる」に対応する語形が見られる。

「ゐる」が「たつ」と対になる「座る」の意味だったことは、
「立ち居振る舞い」「居ても立ってもいられない」などの慣用句でも分かる。
「座る」から、「その場に居る」、そして単に「居る」の意味になった。

「すわる」は、「座る」と書くと分かりにくいが元来は「据わる」で、
下二段の他動詞「据ゑる」(据う)に対応する五段の自動詞だった。
「その場に自らを据える」から「据わる」ということ。

496 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/08(火) 09:12:28.22 0.net
>>494
あ、書き忘れてた。

前提:
・ 大野説ベースである
・ a+i1→e2、i1+a→e1、o+i1→i2、u+i1→i2、u+a→o1
・ a+a→a:、i1+i1→i1:、u+u→u:、a+o2→o2:
・ a+u→u:、i1+u→u:、o2+u→u:
・ a:、i1:、u:、o2:、e2。e1。i2、o1の後に更に母音が続くときは子音が入る(典型的にはrかy)
・ a:、i1:、u:、o2:は表記上はa、i1、u、o2とかわらない
・ 東国では u:がo1に化けた?
で488-491は手を抜いて":"を略記したので、
四段では終止が-u、連体は-u:(=-u-u)、
ナ変/カ変では終止が-u:(=-i1-u)、連体が-u:ru(=-i1-u-u)だな。

497 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/08(火) 09:23:59.23 0.net
訂正:
×a+a→a:、i1+i1→i1:、u+u→u:、a+o2→o2:
○ a+a→a:、i1+i1→i1:、u+u→u:、o2+o2→o2:

498 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/08(火) 22:23:40.86 0.net
>>492
そこまで強い主張はしないな。
-o2su/-o2ruを派生する動詞は未然が(Co2)Co2Caのタイプが多いとは思うけど、
逆(Co2Caなら-o2su/-o2ruを派生する)は必ずしも言えないと思うんだ。

499 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/08(火) 22:46:16.47 0.net
>>468
参考までに、日本語からアイヌ語に借用されたと思われる語彙でo/オ段を含むものを拾ってみた

ko(粉、コ甲)
kosonte(小袖、コ甲ソ甲デ)
menoko(女、メ甲ノ乙コ甲)
iso(磯、イソ甲)
toma(苫、ト甲マ)
yanto(宿、ヤド甲)
noki(軒、ノ甲キ甲)
sirokani, sirokane(銀、シロ甲カネ)
pukuru(袋、フクロ甲)

koppa(木っ端、木はコ乙)
sonpa(蕎麦、ソ乙バ?)
tono(殿、ト乙ノ乙)
tomari(泊、ト乙マリか)
tori(鳥、ト乙リ)
pito(人、ヒ甲ト乙)
nomi(祈、ノ乙ミ甲)
inotu(死者の魂<命?? イノ乙チ)
moto(元、モ乙ト乙)
iro(色、イロ乙)

500 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/08(火) 22:47:09.87 0.net
puntari(秀吹Aホダリ)
konkani, konkane(黄金、コガネ)
onkami(拝、ヲガミ甲)
otcike(折敷、ヲシキ)
konci(頭巾<巾子、巾は中古音で真韻B類)
konpu(昆布、昆は中古音で魂韻)
matanpusi(鉢巻<綿帽子、帽は中古音で号韻)
konru(氷)
sori(橇)
sito(団子<粢)
tomi(富)
noko(鋸)
nonki(芒)
posomi(細身の刀)
potoki(仏像)
pone, poni(骨)
sippo(塩)
tunpu(部屋<坪)
imo, emo(芋)
ottena(乙名)
siwto(舅姑)
nuyto(縫い糸)
tanpaku(煙草)
peko(牛<東北方言ベコ)

501 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/08(火) 22:48:23.18 0.net
sanniyo(算用)
teppo(鉄砲)
tokuy(友人<得意)
tori(逗留)
hoyco(包丁)
tonka(唐鍬)
punkiyo, punki(奉行)
kayso(会所)
kotco(ご馳走)
kito(ギョウジャニンニク<祈祷蒜?)
ratcako(松明<蝋燭)

ontaro(大樽)
sirosi(印)
saro(猿)
nota(料理のヌタ)
noka(像<額?)

借用年代が古い物ばかりとは限らずむしろ明らかに新しいのも混じってるし
そもそも借用かどうか不確かなものもあるが
まあ気にしないでくれ

502 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/09(水) 06:39:57.74 0.net
>>496
四段動詞の終止形と連体形に、表記に現れない発音の差があったっていう説ね。
俺もこれを信じてるんだけど、その差は母音の長さじゃなくてアクセントの違いだっていう話を聞いたことがある
誰かこれ詳しい人いない?

あと、母音の長さの差は連体形じゃなくて連用形にあったんじゃないかと思ってる
複合音であるi2、e1、e2は少し音の長さが長くて、i1とi2は統合後も音の長さで区別がついていた。

上二段動詞が音便化を起こさなかったのは、この長さによって発音の短絡が起こらなかったからじゃないかと思ってるんだ。

503 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/09(水) 07:23:15.58 0.net
文献時代の動詞活用アクセント(院政期あたりの体系)でも、
四段動詞の終止形と連体形はアクセントが違っていたことがはっきり記録されている。

四段動詞に限らずほとんどの動詞で、終止形は低く終わるが、連体形は高く終わる。
終止形はそこで終わるが、連体形は後に続いていくという文法的機能の差を反映したものと解釈される。

504 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/09(水) 18:25:49.65 0.net
>>502
それについておれは全くしらないけど、
英語の発音で言えば、名詞が形容詞として用いられる場合、
名詞@ 名詞A みたいな形で、名詞@が形容詞になってるような場合、
@のアクセントは弱形になり、Aは強形になりやすく、
英語は等間隔でアクセントのリズムが来るけど、
@の形容詞部分にはアクセントが来なくなるのがふつうみたいな話じゃないの?
連体形は、後ろに体言が来るし、そこらへんで、アクセントが変わるとか?
まぁ、英語はストレスアクセントで、ストレスが弱くなるってのと、
日本語では違いがあるけど、終止形と連体形で発音が変わるというのは、
そういう感じのことかなと、ふと、思った。

505 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/09(水) 19:49:59.30 0.net
>>499
menokoなんかはどう考えてもかなり古い借用語だけど、日本語のme1no2ko1がそのままmenokoで借用されてることからすると、アイヌ語は当時から5母音だったのでは?

506 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/09(水) 21:08:47.88 0.net
me1no2ko1は中央ではいつ廃れたんだろう?
東北ではそれより数百年くらい後まで残ってそうだけど

507 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/09(水) 22:39:46.68 0.net
書き言葉としては廃れていても、口語表現としては結構残っていた可能性もあるんじゃない?
口語表現というか、俗語のようなものは文献では出てこないことはよくある。
また、>>506さんの言うように、東北地方ではかなり古くまで残っていたというのも、ありうるよね。
そうすると、メノコも、比較的近い時代の借用語かもしれない。

508 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/09(水) 23:53:57.94 0.net
メノコって上代の頃にはもう中央語では死語になりかけてたようなかなり古い言葉だよね

509 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/10(木) 02:34:22.92 0.net
>>502
院政期の動詞活用アクセント(拍数は現代語基準)
現代東京方言では一類が平板型、二類が起伏型の動詞になっている
この他に、例外的なアクセントを持つ語が少数あるがそれはひとまず除く
現代諸方言では連体形の語形とアクセントが引き継がれ、終止形の語形とアクセントは滅んだ
未然形と連用形には後続する助詞によって二種類あったらしい(詳細は忘れた)

       未然I  未然II  連用I  連用II  終止  連体   已然    命令

二拍カ変・サ変
  一類  高    高    降    降    降    高高   高低    降
  二類  高    低    昇    昇    昇    低高   低降    昇

二拍二段
  一類  高    高    降    降    降    高高   高低    高低
  二類  高    低    昇    昇    昇    低高   低降    昇低

二拍一段
  一類  高    高    降    降    高低   高高   高低    高低
  二類  高    低    昇    昇    低降   低高   低降    昇低

二拍四段・ラ変
  一類  高高   高高   高低   高低   高低   高高   高低    高低
  二類  低高   低低   低降   低高   低降   低高   低降    低降

三拍二段
  一類  高高   高高   高低   高低   高低   高高高  高高低   高低低
  二類  低高   低低   低降   低高   低降   低低高  低高低   低降低

三拍四段
  一類  高高高 高高高 高高低 高高低 高高低 高高高  高高低   高高低
  二類  低低高 低低低 低低降 低低高 低低降 低低高  低低降   低低降

510 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/10(木) 05:12:02.58 0.net
>>509
日本語の方言ってなんでこんなに方言差が少ないんだろうな
地理的に隔絶されて本土方言と交流が無かった八丈方言や琉球方言でもハ行転呼やその手の語形変化は共通して起きてるし、
発音的な変化は諸方言で大きいけど文法的な変化は日本語ってかなり小さいよね

511 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/10(木) 06:11:12.56 0.net
>>509
そうそう、それが見たかった。ありがとう
たしか終止形では最後の音が高→低になるか、低→降になるかどっちかなんで
アクセント的に低い音の接辞がくっついたこんせきなんじゃないかって言われてて
その候補が-u(居)なんだよな

アクセントの例外がヲリで、この語だけ低高でおわるんで、意味的に重複するような単語なんじゃないかとのこと。

512 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/10(木) 06:59:28.09 0.net
どうかな。アクセントは必ずしも語構成を反映してるとは限らないと思うが。

513 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/10(木) 17:59:24.84 P.net
アクセントは極めて重要だと思う。乙種や無アクセント話者はピンと来ないだろうけど、
甲種話者なら、今でも、アクセントをフルに使って、音素だけではわかりにくい形態素を分節している。

日本語史をみると、一貫して、「遡るほど、膠着成分の独立性が、どんどん増していく」んだよね。
これは膠着語一般の性質ではあるが、日本語は特に急速かつ極端で、
記紀がかすかに示す上代語の最古の形は、もはや独立語じゃね?と言わんばかりのバラバラっぷりになる。

>>509の例は非常に重要で、
終止形語尾が独立して「降」、連体形語尾が独立して「高」を持っており、
連用形語尾最末尾が、どうやら「下がり核らしきもの」を持っていたことが、おぼろげながら見えてくる。
(形容詞だとより明瞭になる。上古までの形容詞の語尾は、もはや後置詞としか思えない振る舞いをする)
そして、未然形は独立完結したアクセント型を持たない。これは今の京都大阪方言も同じ。
さらに、それらを取り去った用言語幹は、二型アクセント(HL二種の平板型)に収斂される。
二型であることは、(十分性は持たないが)用言性のメルクマールだった可能性が高い。

俺自身の推測としては、日本語のアクセントは、内在分析するだけで、
-iや-riなどの考察をするずっと前(歴史的には後の段階)で、
あっさり独立詞に腑分けされてしまうのではないか、と思う。
服部だったか村山だったか、日本語の「活用」は、どこまでも非屈折的だ、と断言していたが、これは名言だと思うよ。

514 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/10(木) 19:25:37.70 0.net
> 連用形語尾最末尾が、どうやら「下がり核らしきもの」を持っていたことが、おぼろげながら見えてくる。
でも、一類二類で位置が半拍ずれてるよね。
元のアクセントの影響を受けた可能性が少なくない、までは妥当だとは思うんだけど、
ぴったり反映しているか(あるいは祖形をそれだけで単純に割り出せるか)、はNoだと思う。

奈良時代と院政期でアクセントがあまり変わらないようだ、ってのはどこかで聞いたような気がするけど、
活用が成立した時代(っていつなんだろうな? かなり古いとは思うが)まで
遡って同じか?は慎重に考える方が良さそうだ。

515 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/10(木) 19:53:28.91 P.net
>>514
現存最古の資料が、大変に良く出来た「文字資料」であって(院政期京都アクセント)
現存の諸方言アクセントが、(沖縄のAB群の揺れを除き)すべてそれで説明できる以上、
「祖語構築論の論理射程が、テクニカルに12世紀までしか伸び得ない」というのは、確かに言える。
11世紀以前の形については、他の資料がない以上、論理的に断言が出来ない。

ただ、たったこれだけのことでも、単眼的な内的再構だけで、いろんなことが分かる。
終止・連体・命令の語尾アクセントは安定していて、
これが、独立成分が、比較的新しい時期に膠着したことを、強く示唆する。
連用は、一定の法則を持ちながら揺らいでいて、
独立成分起源ではあるが、膠着の時期がより古かったことを示唆する。
未然は独立の語尾を持っておらず、国文法的発想を取るにしても、
活用形として並べること自体、再考を要する事がわかる。

516 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/10(木) 20:04:35.95 0.net
アクセントに独立性がないから活用形として並べることが再考を要することになるってのは飛躍じゃないんですか。

517 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/10(木) 20:20:05.31 0.net
ふーむ。
活用形は沢山あったものが(記憶容量節約のために)単純化されて来たのに、
アクセントは逆方向(安定してるのが揺らぐ方向に)に動くのか…不思議だ。

>516
アクセントは置いとくとしても未然形は昔から色々言われてるからねぇ。

518 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/10(木) 20:38:06.09 P.net
>>517
単純化は単純化だよ。独立性が高い時期には、それ自体が明瞭なアクセントを持っているのに、
膠着が深化すると、自立語の振る舞いに飲み込まれていって、
見かけ上複雑化するが、実際には、単一単位化が進むわけで、エントロピー自体は増大する。
このへんは、ロマンス語の動詞のあのカオスな人称変化みたいなもん。
癒着度が上がるほど、見た目上は却ってカオスになる。

でも、日本語の活用形って、国文法ベースに考えても、特に減ってないよね。
それとも、ナ変が(共通語では)消えたとか、二段が一段になったとか、そういう話のこと?

519 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/10(木) 21:14:48.57 0.net
そそ、そっち。活用型と書こうとしてうっかりした。すまん。

520 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/11(金) 00:54:23.92 0.net
未然形の起源は6種類くらいあるの?

受身系 る(ゆ)、らる(らゆ)
使役系 す、さす、しむ
打消系 ず、じ、で(ずて)
推量系 む、むず(むとす)、まし、まほし(まくほし)
条件系 ば、ばや
希望系 な、なむ(なも)、ね

>>509
>未然形と連用形には後続する助詞によって二種類あったらしい(詳細は忘れた)
そう言わずに思い出してください

521 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/11(金) 01:09:39.88 P.net
未然形は固有のアクセントを持たない、ということを、具体的に説明してみる。
これは、上古から今の京都まで原則同じなので、現代語も交えて説明する。

未然形接続の助動詞のうち、
る・らる、す・さす、む(推量)、ぬ系統の否定、
このへんは、固有のアクセントを持たず、動詞に膠着した全体が、動詞の型別アクセントの体系に所属する。
他方、
ず・ざり系統の否定助動詞は、固有の「低」というアクセントを持つ。
(これは、「にす」という複合表現だったことの名残)
だから、
国文法でいう助動詞「ず」は、「ぬ系」と「ず系」で、振る舞い方が違う。

これは現代の甲種アクセントにも明確に引き継がれていて、
関西弁否定の「ん」のうち、終止形の「ん」には固有のアクセントがない。
ところが、連用形「で」に接続する「ん」「い」には、「低」というアクセントがある。
「行かんで」と聞けば、これは「行かぬて」の変化と誰もが思うが、実は「行かずて」の変化であることがわかる。
また、伊勢方面から入ってきつつある表現で、一段動詞につく「やん」がある。
例:食べやん=食べぬ。この「やん」も、固有のアクセントを持たないから、これは「ぬ」起源であることがわかる。
他方、有名な「へん」は、アクセント上は完全に連用形接続の振る舞いをする。
だから、「行かへん」という京都弁は、「か」に化けたにもかかわらず、これは未然形ではない。

522 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/11(金) 02:05:03.18 0.net
未然形の起源が単一でないなら
アクセントも何種類もあって良さそうだけどそうじゃないんだ

523 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/11(金) 10:11:41.24 0.net
素人目に見ても、る・らる・ゆ・らゆ・す・さす は自動詞・他動詞作成接辞がシステマチックになったようにしか見えなよな
見る・見ゆ・見らる・見らゆ なんて単語群がそれぞれ一個の単語か、未然形+助動詞かなんて正直分類上の都合だけで
日本語の造語機能としてはひとつの機能から発生したもののように見える

524 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/11(金) 10:59:22.58 0.net
>>513
膠着語的性質はどんどん薄くなっていくんだけど、遡れば単語が独立していく一方かというと
「吾子」「吾妻」など人称接辞のようなものが現れていって一転アイヌ語っぽくなる。

525 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/11(金) 11:46:13.45 0.net
>>524
それは人称接辞じゃなくて単に助詞が間に付いてないだけじゃないの?

526 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/11(金) 16:51:30.60 0.net
>>513
>乙種や無アクセント話者はピンと来ないだろうけど、

これ、現代だけじゃなく、昔も同じ事情だったんじゃね?
アクセントで区別できなかった代償として上代東国では連体形が-o1になったとか。

527 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/11(金) 18:37:34.64 0.net
はっきりした記録がないので確証は持てないが、いくつかの状況証拠から、
関東地方などが東京式に変化したのは平安中期あたりかそれ以降ではないかという推定がある。
少なくとも、8世紀の時点で既に東国が東京式になっていたと推定させるはっきりした根拠はない。

仮にアクセントが同じだったとしても、語形もアクセントも同じ現代語がそれで不自由していないし、
後世に終止形が連体形に呑み込まれて消失する変化がほとんど全ての方言で起こっているので、
わざわざ区別しようとして語形を変えるほどの動機があったか疑問。
仮に区別したいと思っても、終止形のほうがo1に変化する理由が不明。

528 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/11(金) 20:53:20.81 0.net
例えば英語でmy friendsって言う場合のmyは人称接辞じゃないし、「吾子」「吾妻」などの場合の吾もそれと同じで単なる一人称代名詞だと思う
この場合の吾が人称接辞だとは思えない
代名詞の例ではないけど上代では形容詞は活用も助詞も伴わずにそのまま名詞に接続してたし、それと似たようなものなんじゃないか?
上古には人称語尾の痕跡が僅かに見られるものの中古にはほぼ完全な孤立語になってた中国語は、その後現代に至るまでに助詞を増やして膠着語に近付いた例があるし、
日本語も遡ればほぼ完全な孤立語のような状態で助詞が無かった時代があったかもしれない

アクセントに関しては村山がAN語のアクセントとツングース語の母音の長短を受け継いだものであるという説を立ててるね
ストロスティンは日本語と朝鮮語の同源語のアクセントが逆転してるという説を立ててる
院政京都アクセントで諸方言のアクセントがほぼ完全に説明でき、奈良時代においても院政期とほぼ同じアクセントだとされる以上、
それ以上の分析についてはAN語やツングース語と比較してアプローチしないと難しいと思う

529 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/11(金) 21:01:23.45 0.net
アクセントだって母音体系と同じで不安定になりうるものなはずなのに
400年同じようなアクセントを維持できるもんなんですかね?
それだけ維持できるなら近畿と四国の東京式アクセントは1400年には存在したということもありうるわけで、
そんなわけないじゃんと思うのですが

530 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/11(金) 21:05:11.28 0.net
>>529
奈良時代の上代日本語と院政京都方言のアクセントがほとんど同じであることは証明されてるよ
記紀万葉に書かれた万葉仮名の声調と、院政京都方言のアクセントがほぼ完全に一致してる

現代のフィリピン諸語のアクセントは5000年前のAN祖語のアクセントをかなり忠実に受け継いでるし、アクセントが変化しやすいだなんてことは絶対に無い

531 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/11(金) 21:06:20.43 0.net
つまり吾(ア)は形容詞だったってこと?そのうち純然たる代名詞である我(ワ)と用例が混乱してなくなっていったのか。
それにしても他の形容詞みたいに-キや-シを後接しなかったのは変だ。

532 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/11(金) 21:15:40.32 0.net
関東が東京式に変化したのが平安中期だったってことは、
それ以前は無アクセントか、アクセントを単語の区切りのみに使用する状態だったんじゃないかっていう予想だよ
この説、誰かが唱えてなかったっけ?

ああ、思い出した。
小泉たもt

533 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/11(金) 21:19:39.75 P.net
>>524
それ、むしろ、孤立語的状況を示唆する例の一つなんじゃないかね。
「吾」は、「我」と並んで代名詞だったと思うよ。
一人称代名詞が、無節操なインフレを起こすのは、昔から一貫する日本語の伝統芸と言って良い。

「吾 妻」といえば、「私の妻」であり、
「妻 吾」といえば「妻は私だ」という意味になる(こちらは実例は無いと思うけど)
これ、
「高 山(taka yama)」と言えば「高い山」のことで、
「山 高(yama taka) 」と言えば「山は高い」という意味になるという、
かつて大野が出した、上代語最古層の有名な例に近い。
もはやインドネシア語的な孤立語の様相とは、このような事例のこと。

吾でも、例えば、もしも「*吾喰う(a=kupu)」だの「*汝行く(na=yuku)」のような例があれば、
アイヌ語的な抱合語との関係を、真剣に考えなければならないが、
このような人称接辞の抱合事例は、文献の何処にもないし、示唆するネタもないはず。

534 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/11(金) 21:34:22.79 0.net
>>531
俺の言いたいことを>>533が代わりに全て言ってしまったけど、吾は一人称単数の代名詞だったと思うよ
そもそも上代語の形容詞は-キや-シなどの活用語尾なんて伴ってない

>>533
完全に同意
遡れば、日本語の文法がそんな感じの孤立語に近い様相だった時代があると思う

「吾」と「我」の違いに関しては、村山説では吾が一人称単数で我一人称複数とされてるね
実際の用法を例に出してたけど、なかなか説得力がある説だと思う

535 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/11(金) 21:39:55.04 0.net
>>533
>例えば、もしも「*吾喰う(a=kupu)」だの「*汝行く(na=yuku)」のような例があれば、

正勝吾勝勝速日天忍穂耳命とか?

536 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/11(金) 21:49:37.70 0.net
>>530
アクセントが変化しにくいなら現代の日本のアクセントの多様さは
何によって説明されるのですか?もっと均一でもいいでしょうに。

537 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/11(金) 21:50:38.59 P.net
>>535
もし抱合だったら、その神名は
(議論の仮定とはいえ、神名を改ざんすることには大変躊躇します。
特に信仰されている方には深くお詫び申し上げます)
*【正吾勝】勝速日天忍穂耳命
こうなるはず。吾の付かない「正勝」が出て、その後で「吾勝」と来るのだから
吾は接辞ではなく代名詞だと分かる。

それ、気になるのはむしろ「勝速日」のほう。
これ、どうよんでも後置修飾またはVO型の語順だよねえ。

538 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/11(金) 21:54:02.23 0.net
ふと思ったが、吾(あ) 我(わ) 誰(た) 汝(な) 彼(か)…すべてア段なのは偶然なのかな。

539 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/11(金) 21:58:19.80 0.net
>>526
>>272-282らへんの話も絡んでくるけど
日琉祖語から上代畿内語までの間に半狭母音を持つ語の多くが何らかの条件で狭母音化したんだよ
*o1>u/o1
*e1>i1/e1
(*e2>i2/e2)
動詞連体形は-o1が古形で、畿内で-o1>-uの変化があったんだろう。
形容詞連体形も東国が古形で*-ke1>-ki1だろうな、畿内語でもハシケ1ヤシなどに残存している。
上で出てた「起きる」とかは、*-ko2i-*-ke2->-ki2- だろう。
誰だったか忘れたが海外の日琉祖語を研究してる学者もやたらと祖語に*eや*oを立ててたな
ただこの狭母音化が斉一でなく、畿内語にも少ないとはいえ半狭母音がけっこう残っている理由はわからないが。

540 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/11(金) 21:59:03.43 0.net
あとこれも>>539の傍証になる

> 8 :名無し象は鼻がウナギだ! :2013/10/05(土) 13:24:54.11 0
> >>7
> 「kom,kuma」「kop,kupa-si」「koč,kusi」「kosïl,kusiro2」など、そこまで多くはないが日本語と中期朝鮮語の間に対応語はある
> これらの場合「中期朝鮮語o⇔日本語u」という母音の対応が綺麗に保たれていて、しかも文化語彙に限られているために借用語と思われる
>
> 他にも島を表す単語の古形は朝鮮語でもsimaだったと思われるし、瓜という単語では「oi,uri」という対応がある
> (朝鮮語におけるiが後続するrの消失は規則対応)
> どちらがどちらに影響を及ぼしたのかは定かではないが、日本語と朝鮮語の間にはそれなりの影響は存在していると考えるのが妥当

541 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/11(金) 22:01:00.04 0.net
>>538
偶然でしょう。基礎語なので1音節になるし、
名詞のアの頻度は高いのでね。自分には
足(あ)目(ま)歯(は)毛(か)…すべてア段なのは偶然なのかな
と言っているのと同じに見える。

542 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/11(金) 22:09:06.41 0.net
>>537

>【正吾勝】勝速日天忍穂耳命
> こうなるはず。

わかる。動詞「勝つ」に人称接辞が義務的でないって言いたいのだな。

> 吾は接辞ではなく代名詞だと分かる。

わからん。現代日本語の「私」も代名詞だけど、別に「まさに私が勝つ」とも「私がまさに勝つ」とも言えるし。
もちろん現代の孤立語の代表格である中国語でもこんな縛りはない。

543 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/11(金) 22:09:38.43 0.net
>>536
何によってって、そりゃAN祖語のアクセントとツングース語の母音の長短を受け継いだことによってじゃん

544 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/11(金) 22:10:10.88 0.net
吾の特徴についてみんな抱合語とか抱合語的特徴とか言ってるけど、
名詞や動詞に人称接辞がつくことは別に抱合語の性質じゃないよね

545 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/11(金) 22:10:46.00 P.net
>>539
「無原則に2つに割れました、何故かは分かりません」はまずいよ…
そういう事例は、実は無いわけじゃないんだけど、
比較言語学は、そういう事例を、特に祖語構築論の中では扱ってはいけないことになってる。

連体形と連用形の形は、畿内/東国でそれぞれ、-u/-ua<-o1、-i/-ia<e1
素直にこれでいいんじゃないの?西日本ではaが脱落した、ということで。
(縮約時に脱落したのか、それ以前だったのかは論理的に両方あり得る。
あるいは、縮約前に-aが東国で付着した、と考えることも可能。)

546 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/11(金) 22:14:17.40 0.net
>>543
>>536が言ってるのは院政期以降の話じゃないの?

547 :名無し象は鼻がウナギだ!:2013/10/11(金) 22:40:45.35 0.net
>>545
ただ、畿内でo1の多くの部分がuに変化したと考えると、
日本語の構成要素にo1がやたらに少ないことの説明にはなりそう

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