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古文・漢文イラネ

241 :名無氏物語:2020/05/27(水) 16:17:28 ID:5KPQ+xXF.net
三保忠夫『古文書の国語学的研究』(吉川弘文館)P.25
> 古代から中世、あるいは、近世までの間には多様な文書・帳簿類があり、中には正格漢文体(純漢文)と大差ないもの
もあれば、仮名書き(真仮名・片仮名・平仮名)を交えたものや宣命書きのものなどもある。だが、個別的な事例はともか
く、また、語弊を懼れず繰り返せば、この種の文書類、および、帳簿類は、変体漢文を基調とするというべきであろう。一
般的に、外見上は漢字・漢文体のようであるが、その内実は、日本人が日本語の文章(字音語を含む)を綴ったものが多く、
これは当初から日本語として読むことが期待されているのである。それ故、「和化漢文体は、日本語を表現の基盤としてい
ることから、和文体の下位に分類するのが実情に適っていよう」と述べられる先学もある。よく理解できる趣旨である。し
かし、そうはいっても、これはこれで躊躇される。変体漢文は、日本語の音声的側面を顧慮しないが、一方の和文体は、基
本的には線状的な音声言語をそのままに表記する。変体漢文は、原則として活用語の語形や付属語などの表記を意図しない。
これらには、表現主体の意志・感情が集約的にこめられ、和文体は、ここをもっとも大切にする。変体漢文体は、そうした
和文体の特長とする繊細な表現方法を犠牲にして漢文体にならったのであり、志向するところは別にあったと推測される。
古代における文字、すなわち、漢字のあり方については、刀剣銘や刻銘土器・墨書土器、呪符木簡などによって解明されつ
つある。七、八世紀においても日本人の漢字・漢文に対する想いは格別であり、内実はともかく、結局は漢字・漢文という
外形、すなわち、形式を尊ぶことになったのであろう。加えて、古文書の場合、これは「公式令」によって明瞭に規定され
ている。「公式令66」には、およそ公文はことごとく「真書」(楷書)に作れ、およそ簿帳・科罪……・抄ボウ(片旁)の
類の数あらんものは「大字」に作れとある。この条は、「唐令」を踏まえるようだが、こうして国際法にも等しい隋・唐の
「律令」に倣い、また、漢字文化圏に位置すること自体が、当時の日本における至上課題の一つであったのだろう。

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