パチ組モデラーは「パチ愚民」と呼ぶべき

1 ：HG名無しさん：2024/04/19(金) 23:27:36.11 ID:MyMUZau0.net

パチ愚民が！

348 ：HG名無しさん：2024/04/28(日) 17:10:31.53 ID:5oi3wwJh.net

「嘘だ！出鱈目だ！」
私はソファーから立ち上がると悲鳴のように叫んでいた
目の前のテーブルの上に置かれたロボットのプラモデル、いわゆるガンプラと言うものである
実に他愛のない子供向けの玩具、しかし私の理性が、五感の全てがこの物体の存在を否定していた
「すみません、驚かれせてしまったようで」
テーブルの向こう、車椅子に乗った白髪の男が申し訳なさそうにあやまる
かつて”パチ組み名人”そう呼ばれていた男が

「とにかく彼と話をしてみてくれ、君の見解を聞かせて欲しい」
一昨日の深夜、興奮した状態のデスクから電話を受けて私はとある地方の山荘へと向かった
ほとんどの業務をリモートでこなす私には非常に珍しい事である
「プラモデルの話題でしたらホビー関連の方に任せるべきでは？」
そう食い下がる私に彼は”これを他所に渡したくない”の一点張りで押し付けたのだ

駅から降りて昼食の為に食堂を物色していると、時事ニュースを放送する立体サイネージに目が留まる
『〇〇公社のトップ、処刑』『革命の混乱、収まらず』
折しも、台湾有事に端を発した大陸の混乱が世界を揺るがしていた
最初の武力衝突で事は織り込み済みの予定調和で収束するであろうと見られていたが
またしても欧米の介入により事態は泥沼の様相を見せていた

タクシーに揺られてしばらく、周りを木々に囲まれた山々の麓にその家はあった
当然の事だが先方には既に連絡済みである、玄関のモニター付きのチャイムを押すと
白衣に身を包んだ若い看護師が出迎えた
「こちらでお待ち下さい」
応接間に通されて辺りを見回す　なるほど、多くは無いが確かにいくつかのプラモデルがあった
竜神丸、グランゾート、エヴァンゲリオン・・・幼少から青春時代共にあったロボットの姿に胸が躍る
だが同時に強烈な違和感をも感じていたのだ
何かが間違っていると

349 ：HG名無しさん：2024/04/28(日) 17:11:04.07 ID:5oi3wwJh.net

「あなたが？」
手元の写真とは随分違う形相に私は怯んだ
最も新しい写真で３年前、何かのイベント会場だろうか？子供達に囲まれ笑顔で�Xサインをしている
男は髪も黒々とし２０代後半から３０代前半に見えた　
だが目の前の車椅子に乗った男はどう見ても米寿を控えようという老人なのだ
「お恥ずかしながら、あちらで酷い拷問を受けまして」
なるほど、デスクから大陸が絡んでいるとの説明を受けていた。何らかの事件に巻き込まれたのか？
興味深い話だ。彼は大陸の企業が主催するパーティに招待されていたが其処では残酷なギャンブル競技が行われ
彼は見世物にされていたという事らしい。
「その方は先頃、解放軍の手によって処刑されたようですね　まあ、因果応報というには少々不足ですが」
ライターとしてはこちらの話をメインに据えたい所ではあるが時間は有限だ
前置きして鞄から例の物を取り出す
「ほう、ハイザックですね　なつかしいなあ」
老人の目が一瞬、少年の日の憧憬を映した
看護師の男がゴソゴソと小さなペンチ・・・いや、ニッパーだったか？を棚から取り出すと彼に手渡した
リサイクルショップの大きな値札が張られた箱を開けて中を確認しニッパーを握る
空気が変わった

待て、待ってくれ、今のは何だ　彼は何を切った？何をはめ込んだ？
無音の部屋で模型が形を成して行く　
そう、無音だ　風の音、鳥のさえずり、身じろぎ衣擦れの音さえこの無音の闇に飲まれた
「素組はいい、心が整理されていく。あなたも忙しさで我を忘れそうになったら試してみる事をお勧めしますよ」
時折話す彼の声だけがただ唯一の音であった
私だってプラモデルを作った事ぐらいある　ニッパーを入れた場所には必ず切断面が現れる筈だが・・・
目の前の物にそのような物は確認出来なかった　まあ当然という気がどこかでしていた
恐ろしいのは彼がはめ込んだ部品の合わせ目が消えて行く、消滅していく事なのだ
彼は手に取った２つの部品を合わせるとわずかに力を込める　すると最初から単一として成形されたように溶け合わさるのだ
「嘘だ・・・」
やっとの事で声を絞り出す　彼が手を止める
「出鱈目だ！」