【経済】グーグルがインドで低価格スマホを展開、サムスンに逆風強まる[09/04]

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［ムンバイ　３日　ロイター］（Nivedita Bhattacharjee記者）

　米グーグル＜GOOGL.O＞はインドの携帯メーカー３社と組んで低価格スマートフォンの需要を盛り上げようとしており、高価格機を
重視し新興国市場で急速にシェアを失いつつある韓国のサムスン電子＜005930.KS＞の前途は厳しさを増している。

　グーグルの低価格スマホ「アンドロイド・ワン」の計画に参加したインド企業はマイクロマックス・インフォマティクス、カーボン・モバイルズ、
スパイス・グループの各社で、一部機種は今月中に発売の予定。品質を大幅に高め、アンドロイド搭載低価格スマホの需要を
喚起するのが狙いだ。

　グーグルはアンドロイド・ワンを世界展開する計画だが、世界第３位で急成長するインド市場はすぐに結果を出すのに十分な
土壌を備えている。消費者の多くはスマホ購入が初めて。アンドロイド・ワンの浸透が高まれば業界標準となり、メーカーの合従連衡が
進むだろう。

　一方、インドなど価格に敏感な市場で高機能・低価格機がブームになれば、サムスンに対する価格圧力は強まる。サムスンは
アンドロイドのカスタマイズ版を導入しているが、「ギャラクシーＳ」など高価格帯に重点を置く。

　ストラテジー・アナリティクスのアナリスト、ニール・マウストン氏は「サムスンにとっての主な脅威は、アンドロイド・ワン投入による
低価格帯での価格競争激化だ」と指摘。「アンドロイド・ワンにより、グーグルはサムスンにとって単なる友人ではなく敵になった」
との見方を示した。

　＜追い風強まるグーグル＞

　アンドロイド・ワンが成功すれば、グーグルはインターネット市場と製品販売の両面で自社の利用を広めることが可能になる。

　アナリストや業界筋によると、アンドロイド・ワンはサムスンなどが利用するアンドロイドＯＳに比べてカスタマイズ化の度合いが浅いため、
グーグル製品を標準化し、ライバルの検索エンジンやソフトウエア販売サイトを締め出すことが容易になる。

　インドの携帯メーカーは、アンドロイド・ワンを武器にシェアを拡大し、輸出を増やすことができる。カーボンのSudhir Hasija会長は
ロイターのインタビューで、今後２年間で海外の売上高伸び率が現在の５─７％から２０％近くに加速するとの見通しを示すとともに、
欧州、南アフリカ、ロシアなどへの輸出を視野に入れていると述べた。

　＜価格圧力＞

　サムスン電子はインドの携帯市場でなお主導的な立場にあるとはいえ、支配力は弱まっているようだ。サムスンの第２・四半期の
シェアが前期の３３．３％から２５．３％に低下したのに対して、第２位のマイクロマックスは１６．７％から１９．１％に上昇した。

　サムスンへの圧力を左右するのは価格だ。グーグルは６月にアンドロイド・ワンを１００ドル（６０００ルピー）以下で販売すると発表した。
　しかし地元メディアは業界筋の話として、この価格設定は行き過ぎで、実際には７０００─１万ルピーになりそうだと伝えた。

　サムスンもインドで低価格機を手掛けるが、重視しているのは４万ルピー程度のハイエンド機で、売れ筋は２万０５００ルピー近辺のモデル。

　このほかの海外勢では、モジラが今月、ＯＳファイアフォックスを搭載した低価格スマホをインド向けに３３ドルで投入する計画を発表した。

　サムスンがアンドロイド・ワンへにどう対応していくのかは、他の市場にも間違いなく影響する。サムスンは既に中国で急速にシェアを
落としており、第２・四半期には小米科技（シャオミ）がサムスンを抑えてトップに立った。

　サムスンにとって重要なのは、低価格機の品ぞろえにアンドロイド・ワンを取り入れるかどうかの判断だ。

　ハイテク調査会社カナリスのアナリスト、レイチェル・ラシュフォード氏は「サムスンは低価格帯市場にとどまり、さらなる値下げを
目指すのか、高価格帯重視で行くのかを見極める必要がある」と話す。

　サムスンはインドなど新興市場での経営戦略についてコメントを避けた。７月の決算発表時には、より積極的な価格戦略で
中・低価格帯の品ぞろえを一新し、より小型の製品に重点を置く方針を示している。

Yahoo!ニュースビジネス　ロイター 2014/9/4 14:03
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20140904-00000058-biz_reut-nb