【山陰中央新報／論説】日韓関係、対話のドアに手をかけよ[03/04]

ダーティプア ★＠＼(^o^)／

韓国の朴槿恵（パククネ）大統領は３月１日の独立運動記念日での演説で、日本に歴史問題の解決をあらためて求め、
未来志向の関係構築を訴えた。安倍晋三首相は「対話のドアは常にオープン」としている。就任３年目に入った朴大統領は、
日本との国交正常化５０年となる今年、対話のドアに手をかける時期を迎えたのではないか。

朴大統領は、日韓半世紀の歩みを評価しつつも、今春、結果が発表される日本の教科書検定で島根県・竹島（韓国名・
独島（トクト））の領有権に関する記述や従軍慰安婦問題についての記述が見直されることを懸念してか、「日本政府による
教科書の歪曲（わいきょく）の試みが続いている」と非難するなど、厳しい対日認識を軟化させる兆しは示さなかった。また、
「未来５０年のパートナー」となるため、冷却した関係を対話で打開しようとする意欲も伝わってこなかった。

特に日本の教科書検定問題について、韓国の大統領が記者団との非公式な懇談の席などならまだしも、公式の演説で言及
するのは極めて異例だ。外交当局レベルで議論されている懸案を、大統領がそのまま演説に持ち出すことが妥当なのだろうか。
違和感を抱かざるを得ない。

現在の朴大統領率いる青瓦台（大統領官邸）の政治力学は、閣僚や官僚らが朴大統領の意向を発言などから、いかに正確
にくみ取って政策に反映させるか、という点でしのぎを削っているとされる。これは内政だけでなく外交交渉にも影響を与えて
いるという。

朴大統領が今回の演説で指摘した日本の教科書検定問題は、従軍慰安婦問題とともに今後、日本との交渉でこれまで以上
に争点として持ち出される可能性がある。韓国の対日外交担当者は、朴大統領が演説で言明した問題をおざなりにするわけ
にはいかない。何らかの結果を日本から引き出さなくては、という圧力を感じているだろう。朴大統領自身が、関係改善への
ハードルをさらに引き上げたともいえる。日韓の「未来」に言及しても、その展望を示さないどころか、要求を列挙しただけだ。
大統領、政治家としてのセンスも問われかねない。

今月下旬には、ソウルで日中韓の外相会談が予定されている。その前に議題などを調整する次官級協議も開催される見通しだ。
朴大統領は一連の日中韓の協議を、韓国と中国が足並みをそろえ歴史問題で日本をけん制する場にするつもりかもしれない。

中国の王毅外相は、国連安全保障理事会が２月２３日に開いた討論会合で「過去の侵略の犯罪を歪曲しようとする者がいる」と
間接的に安倍政権をけん制した。朴大統領は、王外相の発言を受け、中国と日本の歴史問題における「歪曲」を共通項にして
日本を追い込めるとの計算を働かせた可能性もある。

しかし、こうした思惑は日中韓の構図に緊張を持ち込むだけで、地域の安全保障や環境問題など３カ国が共通して抱える課題
への取り組みを弱める。北朝鮮は朴大統領の演説の翌日、再び短距離弾道ミサイルを日本海側に向け発射した。北朝鮮の
軍事的脅威に対処する議論を棚上げすることはできない。韓国は責任あるホスト国として振る舞うべきだ。

ソース：山陰中央新報　'15/03/03
http://www.sanin-chuo.co.jp/column/modules/news/article.php?storyid=551030033