【東京新聞】「朝鮮・中国人虐殺記述を」横浜市教委の中学副読本　関東大震災めぐり[9/10]

ねこ名無し ★＠＼(^o^)／

　横浜市教育委員会が作成し、年内に市立中学一、二年生全員に配布する予定の副読本（約五万四千冊）を巡り、関東大震災（一九二三年）の説明項目で「朝鮮・中国人虐殺」が記述されない可能性があるとして、
歴史学者らでつくる有志が九日、「虐殺の事実と背景を掲載すること」を求める要望書を市教委に提出した。
今回の副読本の改訂に伴い、作成途中の内容から虐殺の記述がなくなっているためで、有志らは「虐殺に対する記述を消せば、また同じ過ちを繰り返す」と懸念している。　（志村彰太）

　副読本は社会科などの授業で使う「ヨコハマ　エクスプレス」（仮称）。田中正敬・専修大教授、山田昭次・立教大名誉教授らが、県内の大学教授ら六十八人の署名とともに要望書を提出した。

　田中さんらが市教委に情報公開請求して入手した六月末時点の副読本の原稿案によると、関東大震災の項目は「開港６０年の横浜の繁栄は、一瞬にして灰となってしまいました」と簡単に紹介するのみで、
具体的な死者数や被害状況、虐殺の事実には触れていない。

　同日開いた会見で、田中さんらは「虐殺は震災直後に起きており、震災被害と切り離せない事実。虐殺という人災を切り離して、天災のみを載せるのは納得できない」と指摘。
「横浜は多様な国籍、民族が住んでおり、共生の視点が必要。被害者の視点で描いた歴史を学ぶ必要がある」と話している。

　市教委によると、副読本はＡ４判八十ページほどで横浜の歴史、文化、自然を写真やイラストを多めに使ってまとめる予定だが、詳細は決まっていない。
担当の三宅一彦・指導企画課長は「情報公開では、途中経過の原稿を示した。まだたたき台の状態で、要望書の意見も受けとめるが、教育委員会として主体的に原稿をまとめたい」と説明した。

　横浜市立中学で使う副読本は現在「わかるヨコハマ」（Ａ５判三百十九ページ）がある。関東大震災の項目では「自警団の中に、朝鮮人や中国人を殺害する行為に走るものがいた。横浜市内でも多数の犠牲者を出した」と書かれている。

　「わかるヨコハマ」については二〇一二年七月、市議会常任委で市議から「軍隊、警察が…虐殺」との表現を問題視する指摘があった。その後市教委が回収し、翌年の改訂では「軍隊、警察」の文言は削除され、「虐殺」は「殺害」と書き換えられた経緯がある。

　また、昨年二月の市議会定例会では、別の市議が「わかるヨコハマ」について「使われていない」と批判し、岡田優子教育長が大幅に作り替えると表明。市教委が一四年度、全校に副読本の利用状況を聞いたところ、「活用」と答えた割合が３８％にとどまっていた。

　市教委は「市議の圧力で作り替えるわけではない。現状では活用されておらず、もっと学びやすい副読本を作ることにした」としている。

　＜関東大震災後の虐殺＞　関東大震災直後、「朝鮮人が井戸に毒を入れた」などの無根拠のうわさが広がり、各地で自警団が組織され、暴力や虐殺が相次いだ。
内閣府中央防災会議の「災害教訓の継承に関する専門調査会」が２００８年にまとめた報告書によると、虐殺された朝鮮人と中国人は「震災による死者数の１～数％」と推計され、数千人とみられるが正確な人数は分かっていない。
横浜市立大名誉教授の今井清一（せいいち）さんの書籍「横浜の関東大震災」（０７年）では、当時の朝鮮人の「在日留学生グループ」らの調査として、朝鮮人の市内の虐殺数は１１６２人という説を紹介している。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/list/201609/CK2016091002000139.html

http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/list/201609/images/PK2016091002100053_size0.jpg
記者会見する田中正敬・専修大教授（右）と、山田昭次・立教大名誉教授＝横浜市役所で

【東京新聞】「朝鮮・中国人虐殺記述を」横浜市教委の中学副読本 関東大震災めぐり[9/10]

【東京新聞】「朝鮮・中国人虐殺記述を」横浜市教委の中学副読本　関東大震災めぐり[9/10]