【コラム】マーティン・ジャック氏「かつて中国の朝貢国だった韓国は、中国主導の新たな朝貢秩序に入ることになるだろう」[9/11]

ねこ名無し ★＠＼(^o^)／

　米国の高高度防衛ミサイル（THAAD）の韓半島（朝鮮半島）への配備決定に伴って韓国・中国間の緊張が高まる中、中国との関係をめぐり韓国国内の世論が割れている。
中国との友好関係を重視する人々の間では、中国の経済報復が韓国に与える打撃を懸念する声や、中国の心情を逆なですれば北朝鮮の挑発に対する抑制と南北統一に支障が出るのではないかと心配する声もある。
しかし、THAAD問題の本質は、韓国の安全保障・対外戦略をめぐる「親中」「親米」路線の対決だ。ところがこれまで親中路線を歩んできた韓国の左派は、決定的瞬間に経済・南北関係論に便乗する形で論点をはぐらかしている。

　「親中左派」は、韓国に限った現象ではない。中国の民主主義と人権について国際世論が批判的な中、中国政府を強力に擁護する人物がいる。英国の学者・ジャーナリストで左派として知られるマーティン・ジャック氏だ。
中国語にも翻訳されて飛ぶように売れた著書『中国が世界を征服する時』（2009年）で同氏は「世界の首都が北京に移動するのは必然だ」と述べている。
中国人は民主主義よりも富国強兵を望んでおり、中国のソフトパワーと価値観が西欧モデルに取って代わり世界の人々の心を捉える、と主張する。
同氏に先立ち、イタリア出身で左派の社会学者、ジョバンニ・アリギ氏は著書『北京のアダム・スミス』（07年）で、中国の台頭と米国の没落を予想した。
また、従属理論の生みの親として知られるドイツ出身の左派の経済学者、アンドレ・グンダー・フランク氏は、晩年に著した『リオリエント』（1999年）で、中国に代表されるアジアが世界史の中心に帰ってくると予言していた。

　左派の「中国愛」は、アジアの方がより根深い。日本は20世紀半ばから、著名な中国文学研究者の竹内好氏が、日本の帝国主義とそれを生んだ盲目的な西欧追従を批判し、中国革命に「近代の超克（欧米文化の克服）」の可能性を見いだした。
この流れを受け継ぐ中国思想史研究者の溝口雄三氏は、日本が中国より優っているという通念を批判し、西欧中心の近代観を打ち破るべきと主張した。最近では世界的な文芸評論家の柄谷行人氏が、中国に「帝国主義ではない帝国」を見いだしたと説いている。
韓国でも1970－80年代に、若者層に大きな影響を及ぼした故・李泳禧（リ・ヨンヒ）元漢陽大教授が中国の共産革命と文化大革命を人類史の新たな実験だと賞賛した。

　しかし、アジアの左派の親中路線は、中国が急激に台頭して以降はむしろ壁にぶつかっている。韓国と日本の左派は韓・中・日の連携を模索しているが、当の中国は、韓国と日本を自国と対等の存在とは考えていない。
ほかの国々がただ中国の影響下に入ればいいと考えているのだ。東アジア論を主張してきた韓日の左派たちは「中国には果たしてアジアがあるのか」と不満の声を漏らしている。

　欧米の左派は、西欧の資本主義の代案として中国に注目しているだけで、中国自体や東アジアとの関係には関心がない。これを中国思想研究者のチョ・ギョンラン博士は「左派オリエンタリズム」と呼ぶ。
「オリエンタリズム」は偏見に基づいて東洋を実態に関係なく見下していたが、「左派」は逆に米国に対する反感をベースに中国をひたすら持ち上げるものだ。中国と特別な利害関係のない欧米の左派はそれでもよいだろう。
しかし、中国とぶつかり合いながら進まねばならない韓国はそうはいかない。「かつて中国の朝貢国だった韓国は、中国主導の新たな朝貢秩序に入ることになるだろう」とするマーティン・ジャック氏の主張に同意するつもりなのか、韓国の左派は明らかにすべきだ。

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李先敏（イ・ソンミン）先任記者

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