【国際】脱北者に“刺された”敏腕北朝鮮工作員の悲哀　日本もチクリに警戒必要[11/07]

ねこ名無し ★＠＼(^o^)／

　国連児童基金（ユニセフ）の男性職員が、北朝鮮の朝鮮人民軍対外諜報機関「偵察総局」工作員であることが明るみに出た。１０月２２日の「産経ニュース」で報じるきっかけとなったのは、脱北した元北朝鮮高官が暴露したからだった。北朝鮮に忠誠を誓った非のない工作員が突如、身内の裏切りにあったわけだ。本人は驚いただろうが、各国は、こうしたチクリをスパイから自国を守る防諜手段として活用しているのが実情だ。昨年には中国がスパイ活動を行ったとして複数の日本人を拘束している。日本はスパイの存在を否定したが、素直にうなずく国は皆無だろう。

　朝鮮半島関係者が把握した元北朝鮮高官の証言などによると、工作員は少なくとも１０月２１日までユニセフのソロモン諸島事務所に勤務。旧朝鮮労働党３５号室（現偵察総局）に所属していた工作員は２０００年代以降、モンゴルやフィジーでユニセフ職員などとして活動し、各国要人の抱き込み工作や軍事情報収集を行っていた。

　０９年に発足した同局は、工作員の一連の活動について、「各国の軍事情報を素早く集めることができる優秀な人物」と高く評価していた。同局は軍総参謀部の配下に置かれ、韓国に亡命した黄長●（＝火へんに華）（ファンジャンヨプ）・元朝鮮労働党書記の暗殺計画を練ったとされる。

　世界各国の諜報員は通常、公務員として在外公館で３年ほど海外勤務を送った場合、いったん本国へ帰国する。というのも、長期間同じ国にとどまると他国の防諜網に引っかかり籠絡される危険性が高まるからだ。帰国してから数年後に再び、海外に赴くパターンが多い。

　ところが、この工作員は１０年以上、一貫して海外で活動している。優秀であったため滞在が長期化したとみられる。子供の命を守るユニセフ職員という肩書が清廉潔白なイメージを周囲に与えたはずだ。ユニセフという隠れみのが最大限生かされたケースといえる。

　実際、モンゴル滞在時には職員の身分を使って日本や韓国企業の関係者に接触し、北朝鮮に成果を報告していた。

　工作員は１０月２１日、産経新聞の電話取材に応じ、本人であることは認めたが「（工作員かどうかについては）知らない」と回答し、曖昧な態度に終始した。

　実は、こうしたチクリに日本は無関心でいられない状況に陥っている。昨年、中国でスパイ活動を行った疑いがあるとして、日本人２人が逮捕されたからだ。

　日本は昨年９月、民間人の邦人２人が中国当局に拘束されていることを公式に認めた。ただ、菅義偉官房長官は記者会見で、２人がスパイ行為に関与していたかどうかについては「全ての国に対し、わが国は絶対そうしたことはしていない」と強調した。結局、中国は昨年から今年にかけて、スパイ行為に関わったとして少なくとも日本人４人を拘束した。

　中国の主張が事実ならば、何者かが諜報員の存在を中国側に漏らした可能性が高い。日本側の二重スパイや裏切り者の存在がちらつく。政府関係者は「裏切り者がいたとすれば、適切な対応がなされた」と打ち明けるが、中国に公にされた時点で諜報活動の失敗は明らかだった。

　こうした防諜合戦で想起される映画がある。東西冷戦下の英国とソ連の諜報機関の攻防を描いた「裏切りのサーカス」（２０１１年）だ。ソ連に通じた英国の二重スパイの密告で英国の諜報員が悲惨な目に遭う。派手なアクションはないが、現実の諜報活動の現場とシーンが重なる。日本の周囲でも映画さながらの神経戦が今後も展開されるはずだ。修羅場で勝ち抜く努力が日本に求められている。

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