【中国】中国共産党幹部、学歴とは比例しない非科学信仰がむしばむ現実[11/09]

ねこ名無し ★＠＼(^o^)／

http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/images/20161109/frn1611091530005-p1.jpg
中国にある大学。中国では、学歴が高い層でも一定の割合の人が非科学的なものを信じている　（ＡＰ）

　反腐敗キャンペーンで失脚した中国共産党の幹部のほとんどが風水や占い、もしくは新興宗教と深く結びついているという話題を先週書いた。そして、この現象が中国社会の抱える一つの縮図であり、一般社会では、さらに大きな影響を人々の生活に及ぼしているという問題も取り上げた。

　もちろん、こうした非科学的な要素が中国の一般社会だけでなく共産党という組織さえもむしばんでいる現実には、党中央も頭を痛めている。

　事実、そうした実態を調査した結果は驚くべきものである。例えば、今年の上半期に国家行政学院の程萍（ていへい）教授が中心となって実施した調査によれば、中国共産党の幹部および一般公務員のなかで、伝説や迷信などを「信じるか」という問いに対して「信じない」と回答した者は全体の７６・５３％であった。

　数字だけ見ればやはり農村での調査に比べて圧倒的に「信じない」者のパーセンテージは高まっていることが分かる。これは、農民より都市住民、低学歴より高学歴のほうが非科学的なものに対するアレルギー反応が高まるという傾向とも重なり、安心材料のようにも感じられる。

　だが、これは見方を変えれば共産党の幹部や公務員でさえ２３・４７％の人がそうした非科学的なものを「信じている」と回答していることになるのだ。

　しかも共産党員を対象にした調査であれば、そもそも「信じている」と回答することに一定の圧力がかかった上で回答していると想定されるのだから、より問題は根深いといえよう。

　２００７年、程教授は「科学的素養」があるか否かについての調査も行っている。その基準は、易や面相、占星術、夢占いなどに影響を受けやすいか否かの調査であったが、調査結果は５２・４％の幹部・公務員が「科学的素養を欠く」と判断されている。

　今回、約３００人を対象に新たに調査をし直したところ、なんと「科学的素養を備えている」と判断された者の人数は、わずかに全体の１６・９７％にしか届かなかった。

　調査対象となった３００人の幹部・公務員の文化レベルは、９５・３％が大学卒業以上の学歴。そのうち４０・０７％はマスターもしくは博士を取得していたというのだから、学歴の高さは、必ずしもそうした非科学的な思考やスタンスとは比例しないことを示した。

　習近平指導部のスタートと同時に大々的に進められた反腐敗キャンペーンの中で落馬する数々の大幹部の裏側で風水師の影がちらついたことは、もはや中国では有名な話。それはいまや中国共産党が隠しておきたくても隠しておけないレベルで人々の間で大きな話題を提供し続けている。

　■富坂聰（とみさか・さとし）　拓殖大学海外事情研究所教授。１９６４年生まれ。北京大学中文系に留学したのち、週刊誌記者などを経てジャーナリストとして活動。中国の政・官・財界に豊富な人脈を持つ。『中国人民解放軍の内幕』（文春新書）など著書多数。近著に『中国は腹の底で日本をどう思っているのか』（ＰＨＰ新書）。

http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20161109/frn1611091530005-n1.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20161109/frn1611091530005-n2.htm