【社会】朝鮮人強制労働の実態を追う不屈の半生を描いた映画、各地で上映中…過去を忘却、軍事大国化を突き進む日本を撃つ[02/16]

ダーさん＠がんばらない ★＠＼(^o^)／

■朝鮮人強制労働の実態追う不屈の半生

福岡県筑豊を拠点に、朝鮮人強制労働などの実態を徹底的に掘り起こしてきた林えいだい（82）の半生を追った、ドキュメンタリー映画「抗い記録作家　林えいだい」（西嶋真司監督）が東京をはじめ各地で上映中である。ルポライターの鎌田慧さんがこの映画に次のような言葉を寄せている。

林えいだいは孤高の記録作家である。　筑豊にいて、ひとりこつこつと、　あたかも暗闇で岩盤を穿つように、日本の負の歴史をペンで切り拓いてきた。炭坑産業と朝鮮人強制労働、無告の民の戦争秘史、ひたすら聞き続けて４６年。その驚嘆すべき苦闘と持続の成果を、この映画が見事に復元した。

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取材中の林えいだい

■特高に殺された父

林が記録作家になったのは、反戦思想を貫いた父・寅治さんの影響が大きいという。神主だった父は民族差別や炭鉱の耐え難い重労働で酷使されていた朝鮮人たちが脱走したとき、彼らを自宅にかくまった。国賊、非国民と烙印を押された父は特高に捕まり、拷問を受け、命を落とした。命がけで権力に抵抗を続けた父の姿は、後に林さんが朝鮮人強制連行問題に取り組む原点となった。

東京の大学を中退、故郷・筑豊で炭鉱夫として働いたことも。故郷の町役場に勤務し町史の編纂にあたったり、北九州市教育委員会に勤め、公害問題に取り組んだが、３７歳で退職。フリーの記録作家としてスタートした。林が師と仰ぐ作家、故・上野英信は筑豊の炭鉱に生きた人々を書き続けたが、ある日、モンブランの万年筆を二本林に送り、「朝鮮人強制連行の問題を一生かけて掘り起こしてほしい」と託したという。ライフワークとなった朝鮮人強制連行の現場を訪ねて、国内だけでなく、サハリン、南朝鮮、中国へと取材の旅を広げた。

映画では、林が所有するカセットテープから筑豊の朝鮮人抗夫が歌った「ノレカラの歌」の肉声が流れ、ボタ山のふもとに散らばる朝鮮人の無縁仏がクローズアップされる。強制労働の過酷さ、抗夫らの望郷の念、無言の叫びがス見るものの胸を抉る。

今、作家人生の集大成として取り組むのが太平洋戦争末期の１９４５年８月９日、一人の特攻隊員が、旧日本軍によって銃殺された事件だ。飛行第62戦隊に所属し、重爆特攻機「さくら弾機」に放火した罪を着せられていた。林はこの青年が朝鮮半島出身の学徒兵であるがゆえに無実の罪を着せられたのでないかとの疑念を抱き、徹底した取材を続けた。その執念が通じたたのか、関係者らの重い口が開き、青年の無実を浮かび上がらせ、事件の真相が闇の中から明らかになった。その根底にある「日本人の差別意識」が照射されたのだ。

■ガンと闘いながら

林は、重いガンを患う現在も、現場に赴き、戦争体験者の声に耳を傾ける。抗がん剤の副作用でペンが持てないほどだ。震える手にセロテープで万年筆を巻きつけながら、記録を残す。「これは僕の闘いだから」と原稿用紙に向かう。犠牲者の無念をわがことのように感じ、権力に棄てられた民、歴史に忘れられた民を一人、ひとり丁寧に掘り起こし、ひたすらペンを走らせる。

ラストのスクリーンに写し出された「歴史の教訓に学ばない民族は、結局は自滅の道を歩むしかない」という林の言葉が、過去を忘却し、軍事大国化をひたすら突き進む今の日本を撃つ。権力に屈することなく、書き続けた苦闘のペン。作家の抗いの半生がそこに投影されている（朴日粉）

以下ソース

ソース：朝鮮新報　2017.02.15 (12:06)
http://chosonsinbo.com/jp/2017/02/〈ドキュメンタリー映画「抗い-記録作家%e3%80%80林えい/