【囲碁】ＡＩ「日中戦争」の様相…日本製「Ｄｅｅｐ」と中国製「絶芸」、切磋琢磨で棋士ねじ伏せる実力[3/26]

ねこ名無し ★＠＼(^o^)／

　プロ棋士と囲碁ソフトによる第５回電聖戦が２６日、東京都文京区で行われ、「読みの速さと正確さは日本一」と称される若手実力者の一力遼七段（１９）が、第１局で人工知能（ＡＩ）「Ｄｅｅｐ　Ｚｅｎ　Ｇｏ」（日本製）、第２局で「絶芸」（中国製）と対局。前回までＡＩ側につけていたハンディを今回初めてなくしたが、一力七段はどちらにも敗れた。

　一力七段は「Ｄｅｅｐ」について「序盤からバランスよく打たれ、（巻き返そうと）勝負手を放ったが的確に対応された。強かった」とお手上げ状態。「Ｄｅｅｐ」は、先のワールド碁チャンピオンシップでも、井山裕太十段（２７）＝六冠＝を負かしている。

　一方、「絶芸」については「チャンスはあったが、勝つまでには至らなかった。機会があれば、また対戦したい」と再戦に意欲を見せた。

　電聖戦は、囲碁ソフト同士が戦う「ＵＥＣ杯コンピュータ囲碁大会」の成績上位２機種がプロ棋士と対局。

　３月１８、１９日にあったＵＥＣ杯では、日本、中国、韓国、米国、フランス、台湾から２９ソフトが参加し、中国の「絶芸」が初出場ながら「Ｄｅｅｐ　Ｚｅｎ　Ｇｏ」などを破って優勝していた。

　昨年３月、米グーグル傘下のベンチャー企業が開発した「アルファ碁」が、韓国トップクラスのイ・セドル九段（３４）を４勝１敗で破ったことで一気に注目度が高まった囲碁ＡＩ。

　日本では同じ昨年３月、「Ｚｅｎ　Ｇｏ」に東京大学とＩＴ関連企業のドワンゴが支援を表明し、「ディープラーニング」（深層学習）と呼ばれる手法でアルファ碁に追いつこうとするプロジェクトがスタート。この結果、進化したのが「Ｄｅｅｐ　Ｚｅｎ　Ｇｏ」だ。

　この「Ｄｅｅｐ」を下した「絶芸」は、従業員３万人超ともいわれる中国のＩＴ企業「テンセント」製。囲碁のルールをほとんど知らない技術者約１０人が、わずか１年で開発したという。

　ところが、中国のインターネット囲碁サイト「野狐（のぎつね）」で棋士を相手に９割以上の勝率を残し、同サイトでは、囲碁の最高の段位「九段」を上回る「十段」に認定されるほどの強さを誇る。

　「テンセント」のＡＩ部門責任者、姚星副総裁は「（開発費は）みなさんが想像されるような額ではない」というが、日本円にして１千万円単位の予算が注ぎ込まれていると推測する関係者もいる。

　囲碁ＡＩをめぐっては、“日中戦争”の様相を呈しているともいえそうだ。

　電聖戦の大会実行委員長である電気通信大・伊藤毅志助教は「コンピュータ囲碁の進歩を正確に記録したいと（ソフトに有利な）置き碁の状態から始めた今大会だが、ついにハンディなしでトッププロと互角に戦えるようになった。目的に達したので、大会は発展的に解消する」とし、現行の形式での大会は今回が最後となった。

　一力七段は「さらに強い囲碁ＡＩが出現するだろう。棋士もＡＩが考えた手に影響を受けており、強くなるために積極的に取り入れていくのでは」と話し、棋士とコンピューターの切磋琢磨（せっさたくま）が続くと予測する。（文化部　伊藤洋一）

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