【秋田魁新報／社説】米朝が軍事衝突すれば、日本の安全も脅かされかねない。外交的解決を目指さなければならない[04/13]

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社説：北朝鮮情勢緊迫化　有事回避へ手段尽くせ

北朝鮮情勢が緊迫化している。トランプ米政権は、原子力空母カール・ビンソンを朝鮮半島近海に向かわせた。核実験や弾道ミサイル発射を繰り返す北朝鮮に警告するとともに、北朝鮮に対して影響力を持つ中国に制裁強化など具体的な行動を迫るのが狙いだろう。

米国の空母急派に対して北朝鮮は「無謀な侵略策動」と激しく非難し、対決姿勢を強めている。米朝の軍事衝突といった不測の事態が起きれば東アジアの安定は著しく損なわれ、日本の安全も脅かされかねない。

米国の軍事的圧力だけで、北朝鮮が挑発行為をやめる保証はない。先の先進７カ国（Ｇ７）外相会合では、北朝鮮の核・ミサイル開発を「新たな段階の挑戦」と厳しく非難する共同声明を発表した。軍事衝突を回避するにはこうした国際連携に中国も組み込み、制裁の実効性を高めながら外交的解決を目指さなければならない。

北朝鮮では１１日に最高人民会議（国会）が招集されたのに続き、１５日に「民族最大の祝日」とされる故金日成（キムイルソン）主席の生誕１０５年、２５日には朝鮮人民軍創建８５年を迎える。重要な政治日程に合わせ、金正恩（キムジョンウン）政権は国内の結束を図るため、新たな挑発に出る恐れがあるとして日米韓は警戒している。

さらに韓国政府は、北朝鮮では６回目の核実験準備が進んでいると指摘。大陸間弾道ミサイル（ＩＣＢＭ）の発射実験準備についても、北朝鮮は最終段階に入ったとしている。

こうした状況に対し、トランプ政権は武力行使も含めて「あらゆる選択肢」を検討していると表明、北朝鮮を強くけん制してきた。しかし、今月６、７の両日開かれた米中首脳会談では、北朝鮮への圧力強化について平行線をたどった。中国が協力しなければ米単独での対処も辞さないとするトランプ氏は、その意思を空母派遣という行動で示したといえる。

トランプ政権は米中首脳会談のさなかに、化学兵器を使った空爆への対抗措置としてシリアのアサド政権軍に対するミサイル攻撃に踏み切った。日本政府内には米国の強硬姿勢を北朝鮮が恐れ、核・ミサイル開発の放棄につながるのではと期待する向きがある一方、逆に追い詰め過ぎると「自暴自棄の軍事行動を誘発する可能性もある」と警戒する声も根強い。

米朝関係の緊張感が高まる中にあって、新たな動きが出てきた点も注視する必要がある。北朝鮮の最高人民会議で約２０年ぶりの復活が決まった外交委員会について、韓国政府は「国際社会での孤立から脱却するため、対外関係の改善を狙った」とみる。中国政府は米中首脳会談の後、北朝鮮に対して核実験などを強行した場合、独自の制裁措置を取ると警告したという。日米韓はこうした変化も慎重に分析しながら、有事回避に向けて手段を尽くすべきである。

ソース：秋田魁新報　2017年4月13日 9時32分
http://www.sakigake.jp/news/article/20170413AK0009/