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【古谷経衡】政策より血統にこだわる蓮舫叩き〜「二重国籍」問題と血統主義〜[7/25]

3 :ねこ名無し ★@\(^o^)/:2017/07/25(火) 22:52:11.44 ID:CAP_USER.net
(続き)

他方、本稿前半付近にあげた「もし蓮舫が防衛大臣や総理大臣になった際、敵性国民の血を引いているから、中国の味方をするに違いない」という愚にもつかないトンデモ血統論を今一度振り返ろう。

まず前提的に民進党が政権党となることは昨今の国政選挙における同党の党勢、および直近の都議会議員選挙の趨勢を観るに明らかに現実的ではないが、

ともあれ、「二重国籍者は戦争になったらどちらの陣営に味方するのか」という発想自体、古色蒼然とした国家総力戦時代の発想と言わなければならない。

国民国家が雌雄を決した総力戦時代であれば、まさしく日米戦争時のアメリカが危惧した通り、「二重国籍やご先祖・ルーツ属性」を持つものが敵性国民になるかもしれない、という「間違った」恐怖が存在することは感情としては理解できる。

しかし、例えば我が国のネット上の右派的クラスタが常に想定している「日中もし戦わば」の今日的戦争は、もはや総力戦の様相ではない。

戦いは空と海、或いは島嶼部とその近海に限定され、戦闘は短期間で終わる。フォークランド紛争の例を持ち出すまでもなく、互いの大部隊が互いの本土で会戦を行うという事態は現出しない。艦隊決戦もない。

現代戦は無人化、サイバー化の傾向がより一層顕著だ。いざ戦争となったら、まず間違いなく最初の数日で決着がつく。あとは政治的駆け引きであろう。「どちらの味方をするのか」以前に、個人が旗色を決定する前に戦争は終わる。

このような「戦争の実際」を理解せずに、まだ現在の我が国におけるネット上の右派的クラスタは、「戦争になったらどちらの味方をするのか」を、(中国や韓国に限った)二重国籍者やそのルーツを持つものに問いかけている。

彼らの思い描く「戦争」とは、前線の兵士が三八式歩兵銃に銃剣を刺して塹壕から突撃していき、銃後の国民は婦女子に至るまで勤労奉仕として軍需工場で働き、総力戦に貢献するというものだ。

・「血統より政策」当たり前の”理”

このような古色蒼然とした戦争観があるからこそ、「戦争になったらどちらの味方をするのか」という問いが生まれてくる。「戦争」とか「軍事」の当世事情を何も知らないのだ。

単なるネット上の右派的クラスタに限らず、自称評論家等と名の付く吾人からすら、このような世界観が開陳されるのだから、私はつくづく我が国における防衛教育の後進性を憂うものである。

その国の国民世論は、常に直近の戦争に左右される―とは有名な言である。アメリカはイラク戦争の後遺症に苦しみ、インドは印パ戦争や中印戦争の戦訓を踏まえている。常に国民は、直近の戦争に左右される。

我が国・日本におけるそれは、いまだ七十年前の日米戦争、第二次世界大戦がそれなのだ。仕方が無いとはいえ、そろそろ「戦争」イメージのアップデートが必要なのではなかろうか。

本稿冒頭の告白に戻ろう。私は蓮舫氏が嫌いだ。政治家としても信頼がおけぬ。しかしそれは蓮舫が大陸中国の血を引くからとか「時効」となった法的疑義についてが故ではない。純粋に氏の「政策」を言動で判断した結果だからである。

「血統より政策」。こんな当然のことが、なぜ理解されぬのか理解に苦しむところである。

古谷経衡
文筆家/著述家
1982年北海道札幌市生まれ。著述家。NPO法人江映理事長。日本ペンクラブ正会員。立命館大学文学部卒。TOKYO FM「タイムライン」隔週火曜レギュラー他、テレビ出演など。
主な著書に『意識高い系の研究』(文藝春秋)、『草食系のための対米自立論』(小学館)、『ヒトラーはなぜ猫が嫌いだったのか』(コアマガジン)、『左翼も右翼もウソばかり』(新潮社)、『戦後イデオロギーは日本人を幸せにしたか 戦後70年幻想論』(イースト・プレス)、
『ネット右翼の終わり』(晶文社)、『欲望のすすめ』(ベスト新書)、『若者は本当に右傾化しているのか』(アスペクト)、『クールジャパンの嘘』(総和社)等多数。

(おわり)

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