2ちゃんねる ■掲示板に戻る■ 全部 1- 最新50    

■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

ウィトゲンシュタイン 5

1 :考える名無しさん:2023/12/04(月) 17:30:31.63 ID:0.net
存在論的に[オントロジー]痒いところに手が届くのが
形而上学や哲学であるのに対して、そこに手が届かないのが
科学や論理である。

よって、科学や数学、論理は「測れないもの」に対しては
原理的に無力にならざるを得ない。その一方、形而上学は
「測れないもの」への独自のアプローチと照射があるため、
それは現代でも世界中の人々の心を捉えて止まないのである

古代ギリシャ時代から哲学は一部の無知な者たちから罵倒、
揶揄されてきたが、現代においても廃れる傾向がないのである。
なぜなら、哲学は存在論的に普遍者を志向しているからである。

時代に関係なく、人類の知的クラスタの間には、普遍的な
ものへの志向があるのである。これが古代ギリシア語で、
智慧や叡智を意味する「ソフィア」と呼ばれるものになる。

つまり、この精神こそが、哲学(フィロソフィー)なのである。


※前スレ
ウィトゲンシュタイン 4
https://lavender.5ch.net/test/read.cgi/philo/1700849339/

814 :考える名無しさん:2023/12/14(木) 06:27:52.60 0.net
私は前に、形而上学は科学とは違って「測りえないものを測る」と定義しておいた。
あるいは、哲学においては、測ることは一意性を持たない、多様な系へとフォーク
していく、とこれを表現してもいいだろう。ウィトゲンシュタインもこうした測るを巡って、
いろいろと試行錯誤していたようである。たとえば、[単純-複合的]という合成を巡る系に
おける思考として、ウィトは以下のような例をあげている

まず、正方形を用意する。それぞれの各正方形は赤、緑、白、黒の色が付いたもの
になっている。それを赤は「R」,緑は「G」,白は「W」,黒は「S」という記号で表す
ことにする。そして、この正方形を9個(3×3という配置)使って、正方行列的に
配列する。この時、記号群で「RRSGGGRWW」と記述された文は、この順序に
対応した布置を表示したダイアグラムとして表せる。

815 :考える名無しさん:2023/12/14(木) 06:28:20.28 0.net
この時、ウィトが問題にするのは、ここで今作られたダイアグラム(複合)は、それを
構成する個々の要素(単純)である色のついた正方形による合成であるとして
良いのか?という問いである。つまり、このダイアグラムは、色の付いた正方形という
要素だけに単純化できず、そこには個数という別の要素もあるのではないか、と
いうのが彼の問題意識である。つまり、このダイアグラムは、たしかに9個の色の
付いた正方形で構成されているが、9個という正方形の個数が、別の要素にもなる
のではないか、とウィトは問題提起しているのである。

私なら、さらにこのウィトの問いを拡張して、要素とは原子や粒子のことではないのか?
などと言いたくなる。ある色の正方形は液晶のドットやペンのインクや鉛筆の原子から
構成された点や粒子の集まりでもあるし、それがこのダイアグラムの真の要素である、と
しても別におかしくはないのである。

816 :考える名無しさん:2023/12/14(木) 06:28:44.79 0.net
前に私は>>33で付随性(スーパーヴィーニエンス)や>>44でトロープという
形而上学的な概念があることを紹介したが、色というのは単独では存在できないのである。
あくまで、なんらかの付随性としてのみ、つまり、強い依存関係のもとでようやくその
存在性を獲得できるのである。これは人が赤だけを指すことが出来ないのと同じである。
赤いリンゴや赤いトマト、信号機の赤の部分、赤い色の付いた正方形であれば、人は
それを指差すことが出来るが、赤自体や赤そのものだけを指させる人はいないのである。

817 :考える名無しさん:2023/12/14(木) 06:29:04.20 0.net
それ以外にも、色の知覚には私たちの感覚モダリティや意識の存在に依っている(付随性)
ことも同様に明らかである。要するに、色は単独には実在していない、という形而上学的な
認識が得られるのである。これはあらゆる他の対象についても同様である。媒質や媒体が
全く存在しないで伝わる音や匂い、形、光などは存在しないのである。光は真空中では、
約30万 km/sの最高速で進むが、真空さえ、この文脈では媒体になっているのである。
真空さえも存在しなければ、媒質が不要の光さえ伝播したり、存在することは不可能であろう。

それに加えて、それらの存在性はそれを認識する側(主体)の感覚モダリティに依存して
いる。そのため、生物によって色をキャッチできる色のスペクトルや光の波長が異なる
のである。つまり、色覚が生物ごとによって異なるのである。爬虫類や鳥類は4種類の
錐体を持っているので、色の識別プロセスが人間とは異なる。鳥であれば、
波長300〜330ナノメートルの紫外線光を感知できると言われている。

818 :考える名無しさん:2023/12/14(木) 06:29:25.56 0.net
要するに、哲学的に考えると、存在の一意性という概念自体が非常に疑わしいのである。
これは対象とそれを名指したり、指示するものが、本質的には1対1対応しえない、という
現実を表している。ウィトが言うように、2センチの線分であっても、その表し方は多様で
ありうる。つまり、2センチは2センチからしか生成(一意性)されないのではなく、
たとえば、最初に3センチを線分を作り、それを反対のベクトルの1センチの線分を用意
することで、前者同様の2センチの線分を生成できるのある。このパターンは無限に作れるので、
この2センチの線分の存在は一意ではなく、無限の系から生成されることが理解できるであろう

819 :考える名無しさん:2023/12/14(木) 06:29:54.92 0.net
私なら、先に挙げた色の付いた正方形と同じように、この線分を構成する原子の
要素の差異や、この線分を表示する媒体、たとえば、紙、黒板、ホログラム、モニターの
種類や差異、IT機器上であれば、OSやソフトウェアの違いなどをそこに認めながら、
多様なモードの集合として、ある存在を多面的に記述できると主張することであろう。
つまり、ある存在や対象を構成する単純な要素(一意性)は、そこには見当たらないのである。
こうした存在における多様な系の暴露や解明は、当然、私の「マルチバース論」とも
ロジカルであり、整合的であることが理解されよう

820 :考える名無しさん:2023/12/14(木) 06:42:48.68 0.net
付随性(スーパーヴィーニエンス)という概念は>>30辺りに書いてある

821 :考える名無しさん:2023/12/14(木) 07:17:35.77 0.net
https://news.yahoo.co.jp/articles/d8c2e8ff320d01207f3d03747216ca267af0f2e8?page=1
「哲学では飯は食えない」は過去のこと 海外の先進企業はなぜ哲学者を雇い始めたのか?

これらは個人の哲学者が企業内で雇われてきたケースですが、欧米では
「哲学コンサルティング」の企業や団体も設立されており、それらを利用する
ケースも多々あります。

例えば博士号をもち、アスコルという企業を設立したA.タガートは、
「どうすれば私はもっと成功できるのか」と考える企業幹部に対し、
「なぜ成功しなければならないのか」と問い返すような哲学的なコーチングの
プログラムを提供してきたそうです。そうした問いかけを通じて暗黙裡に
抱えてしまっている先入観が再考されたり、「そもそも成功とは何か」と
いったより深い思考へ導かれたりするというわけです。

セールスフォースやボーイング、ロレアル、Airbnbなど欧米企業には、
「CEO(Chief Ethics Officer=最高倫理責任者)」やそれに類する役職さえ
設置されているところもあります。哲学や倫理が自社の事業展開に積極的に
活用されているのです。

822 :考える名無しさん:2023/12/14(木) 07:18:02.87 0.net
アメリカにはタガートのような活動をする「哲学プラクティショナー」が数多くいて、
「アメリカ哲学プラクティショナー協会」という組織がその認定を行っています。
こうした哲学コンサルティングの広がりは、欧州でも加速しています。もともと
アメリカに先んじて、1981年、ドイツの哲学者G.アーヘンバッハが自身の
クリニックで「哲学カウンセリング」を開業したのですが、そうした潮流が発展し、
今日ではビジネスシーンでの哲学コンサルティングが広がっています。

例えばドイツには「プロイェクト・フィロゾフィー」、オランダには
「ニュー・トリビュウム」といった哲学コンサルティングの企業や団体があります。
これらの組織は議論するスキルを向上させるコーチングやセミナーを実施したり、
会議のファシリテート(対話の進行)をしてより本質的な議論に深まるように導く
支援をしたりしているようです。

823 :考える名無しさん:2023/12/14(木) 07:18:24.68 0.net
重要なポイントは、今日、「自分(たち)は何をよしとするのか」
「なぜそう考えるのか」について哲学的に考える必要性がさまざまな場面で
生じてきているということです。欧米での哲学活用の広がりを、各種メディアを
通じて発信したところ、大きな反響がありました。しかし、私自身は欧米での
先行例の功罪両面を見極める必要があると考えています。

例えば、2020年12月、米グーグルは同社の大規模言語モデルに含まれる
差別的バイアスを指摘した、AI倫理研究者ティムニット・ゲブルを解雇しました。
論文の共著者から名前を削除するよう要求されるも拒否したためです
(彼女はAI開発現場の白人男性の比率が高く、多様性がないことも問題視していました)。

それに抗議したマーガレット・ミッチェルも解雇されてしまいます。その結果、
研究者コミュニティの離反やグーグルからの資金提供の拒否、社員2600人以上に
よる抗議署名、抗議辞職などが起きたのです。

総レス数 1001
352 KB
新着レスの表示

掲示板に戻る 全部 前100 次100 最新50
read.cgi ver.24052200