【神奈川新聞／社説】ヘイトスピーチ規制法意見書採択、差別根絶への第一歩…他の地方議会も続け[12/31]

ダーティプア ★＠＼(^o^)／

県議会は特定の民族を差別し、排斥をあおるヘイトスピーチを禁止する法の整備を国に求める意見書を全会一致で採択した。
差別根絶に向けた地方議会発のメッセージとして歓迎し、支持したい。

意見書はヘイトスピーチが川崎、横浜で続く状況に「人種や民族、国籍等の違いから生じる差別は決して許されるものではなく、
こうした問題が生じていることは極めて遺憾」として、禁止法の制定など根絶に向けた対策を国に求めている。

ヘイトスピーチをめぐっては「在日特権を許さない市民の会」（在特会）が京都の朝鮮学校で「日本からたたき出せ」などと連呼
した街宣活動は人種差別に当たり、法の保護に値しないとして損害賠償と街宣禁止を命じた大阪高裁判決が確定している。
表現の自由を主張する在特会の上告は最高裁で退けられた。

だが、在日コリアンの排斥を唱えるデモは全国で繰り返されている。民族といった不特定多数が標的にされている場合は名誉
毀損（きそん）罪などの適用が難しく、そもそも差別行為そのものを禁じる法律がない。法規制の不備は国連人種差別撤廃
委員会からも是正勧告がなされている。

にもかかわらず、政府と与党自民党の動きは鈍いといわざるを得ない。最高裁決定を受け、世耕弘成官房副長官は規制に
ついて「言論や表現の自由との関係で難しい問題もある」と留保の姿勢を示している。

権力による表現規制の乱用を危ぶむ声があるのも確かだが、だからといって今ある問題を放置してよいことにはならない。
乱用を防ぐ取り組みが進められるべきで、差別が当事者や社会にもたらす害悪からこれ以上、目を背けるべきではない。

差別と向き合えば矛盾にも突き当たる。問いは、朝鮮学校のみを特別視し、補助金を打ち切った県の判断は正しかったのか
ということにも向かうだろう。そこで思いを巡らせたいのはヘイトスピーチ規制は１００カ国以上で取り組まれているということだ。
その営みは、何が差別に当たるのか、それぞれに議論を重ね、対立や葛藤を経ながらも合意形成は可能であると示している。

国の対応を求めた意見書だが、差別は許さないと宣言した点において意味は小さくない。差別禁止条例といった自治体独自の
取り組みにつながる足掛かりにもなろう。他の地方議会にも続いてもらいたい。

ソース：神奈川新聞　2014.12.31 12:03:00
http://www.kanaloco.jp/article/82245/cms_id/118941