【山陽新聞／社説】慰安婦問題の最終的な解決は関係修復に不可欠だ。合意の履行を促すためにも、駐韓大使の帰任を[03/14]

ダーさん＠がんばらない ★＠＼(^o^)／

朴大統領の罷免　一刻も早い正常化目指せ

数々の疑惑で韓国の政治空白を招いた朴槿恵（パククネ）大統領が罷免された。これで昨秋以来の混乱に終止符が打てるのかどうか。先は見通せないが、一刻も早く正常化への道筋をつけてほしい。

朴前大統領は、親友である崔順実（チェスンシル）被告による国政介入を許したなどとして国会で弾劾訴追された。憲法裁判所は、大統領権限の乱用などが憲法違反であると認定。さらに秘密文書を崔被告に流出させたことが国家公務員法の秘密厳守義務違反に当たるなどとして、裁判官８人の全員一致で罷免を決定した。

建国以来、大統領の罷免は初めてである。憲法裁に「国民の信任を裏切り、憲法を守る意志が見られない」と断罪され、初の女性大統領として期待を集めた朴氏は大きな不名誉を負ったまま失職に追い込まれた。

朴氏の罷免を求めて、ソウルなどでは大規模集会がたびたび開かれてきた。

怒りの先にあったのは「権力の私物化」だ。５年が任期の韓国大統領には巨大な権限が集中し、過去にも身内や側近らのスキャンダルがたびたび噴出してきた。財閥との癒着も絶えない。

罷免を機に、そうした政治システムの見直し議論も浮上してこよう。この際、古い体質との決別が必要だ。今年、民主化３０年になる韓国の真価が問われよう。

ただ、朴氏支持派は決定に反発し、一部が暴徒化して機動隊との衝突では死傷者も出た。朴氏も側近を通じた国民向けメッセージで「時間はかかるだろうが、真実は必ず明らかになる」と述べている。社会の亀裂はすぐには埋まりそうにない。

今後は不起訴特権を失った朴氏への検察の捜査が本格化する見込みだ。韓国最大の財閥・サムスングループトップが逮捕された贈収賄事件への関与が指摘されているが、これまで事情聴取にも応じてこなかった。

朴氏は捜査に真摯（しんし）に協力し、国民への十分な説明責任を果たすべきであろう。

次期大統領選は５月までに行われる。革新系の最大野党「共に民主党」の文在寅（ムンジェイン）前代表が優位とされるが、保守と革新の対立が選挙でさらに深まる事態になれば、新大統領も大きなしこりを抱えての出発になる。

朴政権の政策を根本的に見直す公算が大きい文氏は、慰安婦問題についても２０１５年末の日韓合意を批判しており、両国関係へ影響が出る可能性もある。

しかし、慰安婦問題の最終的な解決は日韓関係の修復に不可欠のものだ。日本政府は合意の履行を促すためにも、一時帰国させた駐韓大使の帰任を検討してもいいのではないか。

核開発やミサイルで威嚇を続ける北朝鮮への対処でも、日韓の揺るぎない連携が鍵となる。しっかり対話を進めていきたい。

ソース：山陽新聞　2017年03月14日 08時00分
http://www.sanyonews.jp/article/501248/1/?rct=shasetsu